第71話 *とっても高価なフルアーマー

そして、最初のアクセサリーを売っているところへ戻って


「やっぱり、ここ以外は大したことなかったね」

「おかしいもの満載だけどね」

「それは確かに」


そして、アクセサリーを売っているところに行くとさらにおかしいものが置いてあった。


「鎖帷子?お面?」

「防具に細工が埋め込まれているようだな」


奥から店員らしき人が来ると、


「フルアーマー、見るとびっくりしますよ」


なぜか、意味ありげに話かけてくる。


「へぇ~どんなものか見せてもらおう」

「なんだか、嫌な感じしか思えないのだけど」


秋穂は、そんなことを言っていたが、見ると断言した以上、行くことにして…


「これです」


フルアーマーには違わない。

顔のところだけ、お面があるが、他はぎっちり防具になっているが、そこに大量の宝石や貴石。

冒険に行って、ひとつでも落とすと大変なことになりそうなものだった。

値札についていた金額は…時価?


「時価って…」

「すごいね。時価だって」


そういうと、これ、を見せた店員が一言。


「ともえ様からの依頼品です」


「…は?」

「なんでも、王城内に飾るそうで」


合点がいったのか、秋穂が


「なんだ、ともえさんの全身宝物庫だったのね」


納得はするが、あの人は何を考えているのやら。


『聞えているわよ』


そんな声が通信装置を介して伝わってくる。


「え、呼んでいませんよ」

『嫌な雰囲気だったから勝手に繋いでみた』

「プライバシーはないのか!」

『ない』

「くっ」

『私のも聞いていたの?」

『ええ、聞いてた』

「緊急時の通信ということだったのに」

『え~、面白そうな会話だったから、モニタリングはしていたよ。それにしても、カップルとは思えない枯れている言動だねぇ』

「ほっといてください」

『私は、今日はここまでかなと思った』

『そうかいそうかい。それは大変だったねぇ』


なぜか、ともえさんが同情した言葉が…


「次からは、もっと進展しているといいね」

「…」


そんな言葉をかけられたが、何も言わず…言えなかった。

そんな風に思っていなかったから。

虚を衝かれた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る