第45話 *可能性の未来
時計に連れられてやってきた場所は、さっきいた場所。
一見、何も変わっていないように見えたけれど、細部は絨毯や左壁側にある花瓶や花、右窓側から見える風景が違っていた。
王子さまは、時計の方を見ると
「ここは、可能性の未来です。あのまま、勉強嫌いと言ったままに育った場合、どうなるのかを見せるために連れてきました」
「ふ~ん。僕はどこにいるの?」
「こちらです」
廊下の突き当たりは、ベランダしかない。
右壁を少し押すと、中の方で「カチッ」と音がして、隠し扉が開いた。
「明るくなるまで、少し時間が必要ですが、長時間開けていられないので、中に入ってしまいましょう」
そう言うと、時計とともに隠し扉の中に入る。
入ると、扉は手を触れていないのに、元の位置に戻ってしまった。
周りを見れば、左右は壁。後ろは隠し扉。
前は、ガラスみたいなものが閉まっている。
「ここは?」
「隠し通路に入るための部屋みたいなものです。この扉の向こうに、王子さまの未来の姿を見ることができる場所があります」
周囲の照明が明るくなって、やっと周りがはっきりしてきた。
壁面だけでなく天井や床にも無数の魔法が刻まれているのが分かる。
「この魔法は?」
「これは、この先にある部屋の時間を遅くするための魔方陣です」
「遅くする?」
「なぜ、遅くしているのかは…行きましょう。扉を開ける条件が揃いました」
ガラスみたいな扉は、左右に開いた。
以前見た、白い通路に似ているが、壁面は黒く、その表面にはさっきと同じように魔法が無数に描かれていた。
その中に、僕が浮いていた。
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