第29話 *無意識による行動

「これらに対して、神経伝達速度は、かなり遅い。何か想定外のことが起きても、とっさに対応できない場合があるのは、これが原因だ。脳からの指令は、末端に行くほど伝達速度に差が出る。心的反応では、足を下ろす場所や未来の到達場所のイメージがあるが、歩くこと自体は、無意識下で生じている。この無意識下で生じた行動を補正するのは脳だが、無意識下で動く足の動きは、不必要なものとして切り捨てられてしまうから、ぶつかるまでは、無意識で足の動きが継続してしまう」

「…全く分からなくなりました」

「仮定だから、こんな感じと思ってくれればいいよ。最初にも言ったけれど、研究段階で、詳細は不明だから」

「1cmの訳は、何でしょうか?」

「そもそも、1cmは、全ての人に共通のものなのか?おそらく違うと思うよ」

「そういえば、1cmって何でしょう?」

「まぁ、その辺は、記録に取ってあるから、テレビさんのお話を再生すればいいよ。私の話をまとめると、歩く動作は無意識下で行われていて、何か問題が起きたとしても脳へ情報伝達は、切り捨てられてしまい、とっさの行動が取れない…だから、足がぶつかるということだ」


 …その場に居た人は、全員、その言葉に、「最初の話と違うような」と思ったが、頭がパンクしそうな顔をしていた兄王子に気遣って、何も言わなかった。


 召喚された2人にはお礼を言って、いつも通りのお礼と共に、召喚元の世界へ戻っていった。

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