第5話

「山田ー、終わったか?」


「終わってます」


とりあえず二人にご飯を食べさせてから部屋を暖かくして出てきた。

朝から寒かったし。

背丈からしてコンロの火をつけるのは厳しそうだったから味噌汁はコタツの上に置いといた。

冷めるだろうが、食べられないよりはましだろう。

炊飯器も足元に保温状態で準備しといた。


今更ながらなんで鬼が二人もうちにやって来たんだ?


「おい、山田話を聞いているのか?」


「はい?」


部長の話はいつも長いからよく考え事をしてしまう。

職場に来てから一時間もかけずに昨日の残りを終わらせて満足していたのと鬼二人のことで頭がいっぱいだったから、全く話を聞いていなかった。


「昨日節分だっただろう?

ちゃんと豆まきしたか?」


「え、そうでしたっけ?」


「昨日は2月3日だろうが。

なに寝ぼけてるのか」


会社のカレンダーを見てみると今日は2月4日になっていた。

ということは昨日は2月3日だった。

しかし、昨日は恵方巻や豆まきなど節分に関する言葉は一切見なかった。

コンビニで恵方巻が売っている時代なのに気づかないはすがない。


「豆まきしないと鬼が来るからな。

気を付けろよ」


機嫌のいい部長の言葉に少しクラっとした。

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