第4話

トントントントントントン


包丁なんて久しぶりに握ったわ。

あれからなりやまない時計をとりあえず止めて女の子を落ち着かせると、女の子のお腹も大きく鳴った。

どうやら二人の鬼はお腹を空かせているようだ。

二人はどちらもぐったりしていて、そのまま仕事に行こうとは思えなかった。

米をセットした炊飯器を早炊きでスイッチをつけ、冷蔵庫の余り物で味噌汁を作る。

鬼って何を食べるのかわからないが、好みを聞こうにも二人にそんな余裕は無さそうだ。


日本食なら問題ないだろ。

今日の味噌汁は木綿豆腐にしいたけ、わかめとシンプルだ。

乾燥だし、白味噌で味つけすれば完璧だろう。


「ご飯だぞー」


この家にご飯を食べに来る人なんていなかったから、茶碗とお椀、はしが一セットずつしかない。

底が深い皿を4つと割りばし2膳だしてあげた。


男の子は疑ったような目でご飯を見ていたが、女の子が我慢できずにすぐに食べ始めてからは続くように食べていた。

男の子の顔は鬼の顔ではなく、普通の男の子の顔にしか見えなかった。

さっきのは幻覚だったのだろうか。


「「おかわり!」」


食べっぷりは二人とも十分だ。

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