第3話

ジリリリリン


頭の近くの耳障りな音で目が覚める。

時計を止めようと手を伸ばすがなかなか届かない。


「ん?」


手に物が触れたように感じたのに時計の無機質な固さを感じない。

なにか柔らかいものを触っているような。

疑問を持つと同時に頭に衝撃が走る。


「いったー!」


痛さに跳ね起きると時計がある辺りに人影があった。

鬼。

まさしく鬼がいた。


「誰がお腹触りよるか!」


鬼がいたのだが、大人ではなく子供だった。

それも二人。

今にも襲いかかってきそうな男の子はとても威勢がよく、頭に角が生えている。

一見かわいらしい風に見えなくもないが、顔は怒り狂った鬼そのものだった。

小さくても恐怖を感じる。


「頭がいたい…」


消え入りそうな声をした女の子はうずくまっていた。

角が生えているが、顔は人の顔で青くなっている。

耳を塞いでいるからなりやまない時計に耐えられないのだろう。


「ちょっとーー」


「なんだこのやろう!」


時計を止めるために一歩前に進むと男の子が突進してきた。

突然のことに受け身もとれずに倒れ


「あれ?」


なかった。

衝撃はほとんどなく、勢いしかない。


ぐるるるるるる


男の子のお腹が大きく鳴った。

空腹で力が出ないようだ。


「どうすんだこれ…」

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