第7話 情報交換(一方的)と三女神の恐ろしさ(色んな意味で)

「麻耶ちゃん、これからどうするの?まだ何か話したいことがあるとかないの?」


「………今のところは無いですね、だが、一つだけあなた達に忠告です、あなた達が本当に戦いに挑むなら、覚悟はキチンとしていてください、生半可な覚悟は身を滅ぼしかねませんから」


 佐々木の忠告を聞きながら、周りを見回す俺───柊幸助ひいらぎ こうすけは、他のクラスメートがどこかでウキウキしながら佐々木の忠告を聞き流すの様な感じを見て、ため息をつく。

 こいつらはまだゲーム感覚で決断しているなあ。

 ………死んだら寝覚めが悪いので、ここはちょっと、釘をさすか。


「お前ら、ここはゲーム見たいに死んだらセーブポイントに戻るもんじゃねえぞ、戦うって言うのは殺し合いだ、敵を殺せないなら自分が死ぬと言う世界だぞ、さっき佐々木が言った生半可な覚悟で挑むんならやめとけ、マジで死ぬぞ」


 俺がそう言い終わると、クラスメートはまた黙り込んできた。

 まあ、これくらいしないと、こいつらは現実に戻れないかもしれないしな。

 そう考える俺だが、一之宮が非難めいた視線で俺を見つめているながら話しかけてきた。


「少し言い過ぎじゃない、柊君」


「いや、これくらいしないと、取り返しがつかない状況になりかねないからな」


「でも言い方が「いいえ、柊君の言う通りです、霧乃、ここは厳しい言い方の方が正しい判断です、そうしないと、皆さんはまだこの状況でどこかで楽しんでいますから、そうでしょう?」………」


 佐々木がそう聞くと、何人の生徒が視線をそらしていく。


「はぁー、まあいいです、私の話はここまでです、皆さんは解散していてもかまいません。では、私は部屋に戻ります」


 そう言い終わると、佐々木は席から立つと無言で食堂を後にした。

 俺ももう用はないので食堂から去ってきた。

 他の生徒がほぼ全員席に就けたまま微動だにしない、何かを考える事の顔していながら。


………

………………

………………………


「なあ、お前等」


「何ですか?柊君」


「何で俺の部屋に集まっている?」


 現在、俺の部屋には佐々木と一之宮と月宮が集まっている。

 かれこれ30分でこいつらが無言のまま、俺の部屋で寛いでいる。


「私は麻耶がここに来るからついていくだけよ」


「私は霧乃ちゃんと麻耶ちゃんについていくだけだよ~」


「私は柊君をついていくだけです」


「帰れ!」


 いや、お前等ホントに何しにくんの!?休みたいなら自分の部屋に帰れや!

 俺がそう怒鳴っていると、不意にくつくつと笑う声が聞こえた。


「ふふ、冗談ですよ柊君、さっきの話の続きを聞きたいだけですよ」


「はぁー、そうしたいなら最初からそう言えや、全く」


「あら、美少女三人が貴方の部屋に来るんですよ、嬉しくないんですか?」


「………まあいい、それでさっきの続きな、分かった、が、一之宮と月宮は大丈夫なのか?」


「否定はしていませんね………ええ、二人なら大丈夫です」


「根拠は?」


「私の幼馴染ですから、私がだれよりも信用しています」


「………そうか、ならいい」


 こいつら三人幼馴染かよ、てっきり、一之宮と月宮だけかと思った。


「麻耶がそう思ってくれると嬉しいだけど、麻耶と柊君って、そんなに仲がいいだったのかしら?」


「答えに困る質問だな、俺が覚えたには佐々木と話したのはさっきが初めてだな、ていうかここ一年、俺、あんまり人と喋ったことがないな、精々挨拶くらいだな」


「「「え?」」」


 うん、そうだよな、驚くだよな、普通。

 でも残念、俺はもう慣れたからな!別に寂しいとかは感じないからな!


「え、家族は、ケンカでもしたの?」


「両親二人は小さい時事故で死んだ、兄弟はない」


「親戚は?」


「祖父母は小六と中二の時他界した、他の親戚は特にない」


「じゃ、じゃあ、友達とか?」


「………友達、あると思う?」


「「「………」」」


 そんな憐れむような目で俺を見ないで!

 俺はただ一人が好きだけだから!


「コホン………まあ、それはさておき「待って!その前に、柊君、貴方、生活費とか学費とかはどうやって補うの?ていうか保護者とかはないの?」………」


 え、まだ続くの、その話?


「………両親と祖父母の遺産で何とかやりくりしているさ、仕事・・もしたしな、後保護者はないな」


「うちの学校って、バイト禁止だったよね?」


「?いや、俺バイトとかしていないぞ」


「え?じゃあ仕事って」


「ネットで稼いでる」


「ネットって、何するの?」


「依頼をこなす、って感じだな」


「依頼?」


「ああ、デバグしたり、キャラを描いたり、会社のシステムをはか──ゲフンゲフン………まあ、色々だな」


「いま、何か不吉な依頼をこなしたようなきが」


「ま、まあまあ、俺のことはいいだろ、さっきの話の続きが先だろ」


「「「………」」」


 おっふ、ジト目だ、三女神からのジト目だ。

 これ、こいつらのファンクラブに知られたら、妬まれるな、俺。


「あ、そ、そうだ、佐々木、俺の髪を切ってながら話そうか、結構長いかもしれないからな、それと一之宮達もいたし最初から話すよ」


「………それはいいのですが、鋏はないのですよ」


 そういや、鋏はないな。

 侍女リッサに頼ん………いや、草抜きハサミがでそうで却下だな。

 ………、スキルでも創るか。


 スキル創造発動、スキル名【創造具現】、効果、

 ・魔力を対価として思い描いたものを創造する事が可能


───スキル【創造具現】を習得しました


 よし、次は髪を切るための鋏を想像して………


 俺が【創造具現】を発動しながら鋏をイメージすると、俺の手の中にハサミが握られた、同時に何かが一気に吸われた感覚がした。


 うっ、気持ち悪っ、なんか車酔い見たいな感覚が……

 これって、魔力切れの感覚か?


───はい、そうです、マスター。


 マジか、ハサミだけでそんなに魔力使うのかよ?

 ちょっとステータスをチェック………


 ・状態 :魔力欠乏


 ・魔力 :8/200


 ………なあ、魔力って0になったら気絶するのか?


───はい、そうです、マスター。


 うへえ、使い切れないでよかったあ。

 いきなり気絶とかマジで勘弁してくれ。


───スキル【魔力回復上昇(小)】を習得しました


 ………俺のスキルはご都合主義だな。


───今更ですか?マスター。


 そこで、月宮が驚いた声を上げる。


「え、ハサミがいきなり、手品なの柊くん?」


「いや、スキルだ」


「また新しいスキルを創る・・・・・・・・・のですか?」


「まあな」


「ていうか、柊君、大丈夫?顔が真っ青だけど?」


「ああ、大丈夫だ、すぐに治る?」


「何故疑問形?」


「魔力切れは初めてだからな、回復速度がどれくらいかが分からない」


 さっきのスキル魔力回復上昇もあるしな。

 そう考えるながら、ふらふらしながら佐々木に近づき、ハサミを渡す。


「じゃあ、頼むぞ、佐々木」


 佐々木はそれを受け取るしながら頷く。


「分かりました、それじゃあ、柊君、椅子に座っていてください」


「了解」


 そのまま椅子に座る俺だが、不意に佐々木が月宮にと呼ばれた。


「ん?ねえ、麻耶ちゃん」


「どうしたのですか?桜」


「さっき〝新しいスキルを創る〟って言ったよね?」


「ええ、そうです」


「それってどういう事?」


「ああ、俺のスキルの事だな、まあ、見るのが早いか【ステータスオープン】ほれ、こっちこいこい」


 二人はそのまま俺の近くに来て、俺のステータスを見ている。


「「………」」


「まあ、驚くのも無理はありませんね、それはそうと、良いのですか?柊君」


「どのみちばれるだろ、俺がどうやってあんな情報を手に入れたってな」


「待って!何これ!?スキルが多過ぎない?」


「ユニークが何個と神級が四つって、私の【結界神】が大当たりってアリアちゃんが言ってたよ、しかも」


「「【スキル創造】って何!」よ!」


 仲がいいなこの二人。

 まあでも、この反応になるよな。

 取りあえず、簡単に説明するか。


………

………………

………………………


「………ってなかんじだ」


「「………」」


「はぁー、二人とも、運の科目を見ていてください、それが簡単な説明になります」


 佐々木が二人にそう言うと、二人がまた俺のステータスを見てきた。

 恐らく、さっきは見ていないだろう、スキル覧に注目するだろうなあ普通。


「………∞って何?」


「数の限りがないという意味だな」


「意味を聞いたわけじゃないのよっ!!!」


 おおう、そこまで怒鳴んなくても………


「………柊くんって、規格外の人?」


「そうになりますね、それも最初は自覚無しですし」


「………」


 反論できねえ。

 いや、まあ、ここまでくると、自分が規格外の人種になった・・・・くらい自覚しているよ。

 だって、スキルがポンポン習得できるし。

 さっき習得したばかりのスキルがすでにレベルアップしているし。


───自覚はあるんですね、マスター、安心しました。


 ………アイの中って、俺はどんな人になっているの?


───聞きたいですか?


 いや、いい。


「まあ、俺のスキルがどんなのが分かるのなら、話を進めるぞ、もう夜だし、時間がない」


「………そうですね、では、お願いします、柊君」


「了解、一応この世界の事も話すから結構ながくなるけど、いいか?」


「そうですね、せっかくですし、お願いで来るのですか?」


「OK、じゃあ、先ずは────」



………

………………

………………………



 この世界の名前はロータスという、一つの大陸といくつの小さな島々がある。

 ほぼ全員の国はその大陸に立ち、その中に五つの大国が支配している。

 先ず、一つは俺達が召喚された国が〝オクタル王国〟、大陸の東側を支配する大国である。

 次は〝ローランド帝国〟、大陸の北東側に位置する大国、人族至上主義の看板を掲げる国。評判が悪く、小国を次々戦争を挑み、それを飲み込む軍事国家でもある。

 次は〝ビースト獣王国〟、獣人が作り上げた国で、大陸の北側に位置する国であり、全ての種族を歓迎する国でもある。

 次は〝リシアス神聖王国〟、リシアスである初代法王を神としてあがめた宗教国家(一部しか知らない)、獣王国の隣に位置する国である。こちらの国も帝国と同じ人族至上主義の国でもある。

 最後は〝デイズ魔国〟、大陸の西側に位置する国で、多種多様な魔人族が集まった国である。この国の長である魔帝は初代から現在まで変わることがない、その魔帝が魔国を統治し続けている〝生きる伝説〟とすら言われている吸血鬼の始祖、名前はクルルエル・ブラッド・ラピエスである。


 その他の国は小さい国があり、他の大国をあまり干渉することができない、その国は二つ、ドワーフ国の〝ドルゲン王国〟と、商人の国〝マーニース商国〟である。

 マーニース商国はローランド帝国とオクタル王国に挟まれる国であり、商人が集まった国でもある。多種多様な物が流通する国で、王ではなく、幾つの豪商人が集まって統治するくにである。

 ドルゲン王国は、ドワーフが作った国であり、武器防具が簡単にそろえる国だ。商国のとなりに位置する小さな国でもある。


 他にはエルフの里とダークエルフの里、その場所は迷いの森に位置し、バラバラな集落を結成し、他種族に無関心を貫く姿勢で成り立つ里である、まあ簡単に言うと引きこもりである。エルフやダークエルフは滅多に集落から出てこないから、よほどの好奇心多性な者がなければ、エルフやダークエルフを見かける事はほぼない。


 そして、これはほぼ全員の人が知らないことだが、竜人の集落があり、場所は大陸の中ではなく、北西側の島に暮らしている。こちらもエルフ同様、引きこもりである。世間からすれば竜人族はすでに絶滅した種族である。


 最後に、大陸の南側は〝魔の領域〟と呼ばれる巨大な森林であり、凶悪な魔物が蔓延る場所でもある。魔王種が発見したのは魔の領域であり、今は魔の領域に奥深くの場所で力と部下である魔物を集めている。



 次は種族の事だ、この世界にいる種族は五つに分けられている。

 人族、獣人族、妖精族、魔人族、と竜人族だ。

 人族は、まあ、簡単に言うと俺達だ。

 寿命は80歳前後まで生きている種族であり、他の種族と比べて数が多い、知っている種族だ。

 が、ここで異世界補整が出てきた、種族進化である。

 これは人族に滅多に現れない例だから、世間からすれば、都市伝説みたいなものだ。

 人族の種族進化にはいくつかの段階がある、その段階はこんな感じだ。

 人族→上位人族→最高位人族→半神半人→人神。

 歴史にある英雄達は精々上位人族まで進化できなかった、その先の最上位人族以上はまだ誰も到達する事がない。


 次は獣人族、寿命は200前後まで生きれる種族で、人族の次に数が多い種族だ。

 種族進化の段階はこんな感じ。

 獣人族→ハイビースト→獣王→獣神。

 獣人族も人族同様、種族進化を果した者は滅多にない。

 歴代最強の獣人族と呼ばれる者は獣王まで進化を遂げてきた。


 次は妖精族、この種族はエルフ、ダークエルフ、ドワーフが一括りにした種族である。

 何故、エルフやダークエルフやドワーフが妖精族に一括りにされた理由は、彼らが妖精の子孫からである。

 エルフやダークエルフは寿命の長さは同じで、500歳前後まで生きられる種族である。

 エルフは森を愛し、魔法に秀でている種族だ。

 ダークエルフも同じ、魔法に秀でている種族だが、如何せん、脳筋の者が多いので、身体強化に特化する種族と勘違いされている。

 種族進化の段階もさほど違いはない。

 エルフなら、

 エルフ→ハイエルフ→エンシェントエルフ→森神で、

 ダークエルフなら、

 ダークエルフ→ハイダークエルフ→エンシェントダークエルフ→闇神、

 である。

 ファンタジー小説の様なエルフやダークエルフの仲が悪いとかはない、〝同じ場所に住んでいる者達、争うなど愚の骨頂〟だかららしい。

 同じくドワーフも別段エルフたちと仲が悪いわけでもなく、ただ無関心だけである(エルフ側から)。

 ドワーフの寿命は300歳前後まで生き残れる種族である。

 手の器用さを生かして、様々の物を作り出す種族である。

 酒好きで、豪快の人が多いの種族だ。

 種族進化の段階はこんな感じ、

 ドワーフ→ハイドワーフ→ドヴェルグ→岩神。


 尚、妖精族の出産率が少なく、子供を大事にする種族である。


 次は魔人族。

 この種族は、多種多様な種族から一括りにされている種族で、魔人族と言っても全てが同じと言うのもいかない、例えば魔帝であるクルルエル・ブラッド・ラピエスが吸血鬼のように、他の種族もいる、淫魔族とか、鬼族とか色々ある。

 寿命がバラバラで速い者が200歳まで生き延びることもいるし、500歳まで生き延びる種族もある。

 魔人族の種族進化の段階はこんな感じで、

 魔人族→上位魔人族→最高位魔人族→魔神。


 そして最後に竜人族だ。

 竜人族は他の種族と違って1000年まで生き延びる事が出来る種族だ。

 竜人族の特性は、【竜化】と言う生まれ持ったスキルを保有する種族である。

 竜人族の種族進化は他種族よりその段階が多い、こんな感じで、

 竜人族→上位竜人族→最高位竜人族→古代竜人族→龍人族→龍神。

 竜人族は他種族よりスペックが高く、レベル1の竜人族であってもパラメーターの平均値は1000を超えている、強者の場合は5000まであるという、とんでもない種族だ。



 次は魔術のことだな。

 先ずは、属性の事だ、魔術には10属性に分けている、

 火・水・風・土・光・闇・無・時・空間・重力、と感じだ。

 火・水・風・土・光・闇の属性には上位属性がいる、

 炎・氷・雷・石・神聖・暗黒である。

 魔術を行使するには三つの段階を踏む事が必要になる、その段階とは。

 ・魔力を感知し、操作する事

 ・魔術の効果をイメージする事/若しくは詠唱でイメージを強化する事

 ・術式に魔力とイメージを同調する事

 これらの段階が踏んだから初めて魔術が行使する事ができる。

 術式は既存の術式を使えることができる。


 それと、魔術と違って魔法も存在する。

 魔術と魔法の違いは簡単、魔術は術式を通して、魔術を発動する。

 魔法はイメージに魔力を込めて、魔法を発動する。

 この世界の人達はあまりイメージする事が出来ないのようで、術式と詠唱を頼る必要があるのようだ。



「っと感じで、この世界や地理、種族や魔術と魔法の事だな………っと、終わったか、サンキュー佐々木」


「ふぅー、どういたしまして、それで、貴方が調べた事はそれだけじゃないでしょう?」


「ああ、そうだな、次は通貨のことだな。この世界の通貨はユルドと言う通貨だ、そうだなあ、1ユルドは大体10円程度の価値だな、で、金は紙幣じゃなくて、硬貨になる、で、その硬貨は五つ、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、黒金貨となっている、銅貨一枚1ユルドから、銀貨一枚100ユルドって感じで100枚ずつで上がる。因みに白金貨は滅多に使わないから、市場で流通したのは金貨までだな、後、黒金貨は国同士の取引に使われる硬貨だ」


「ふむ、そうですか、設定がほぼ同じですね」


「まあな」


「それで、他には?」


「冒険者ギルドの事なら同じ設定で考えれば構わないぞ、ランクはF→E→D→C→B→A→S→SS→SSS→EXまでで、他の設定はほぼ同じだ」


「商業ギルドとか薬師ギルドとかはあるの?」


「あるぞ…………ん?」


「どうしたの?」


「………やけに飲み込みが早いな月宮、もしかして同類?」


「この部屋の中には全員が同類ですよ、柊君」


「………そうか」


 マジで?イメージが付かないだけど。

 意外な事実だな。

 月宮はともかく、一之宮と佐々木はなあ。

 まあいいか、趣味は人それぞれだし。


「まあ、俺が調べた事は大体これくらいかな、後、他に何か調べたい事はあるか?」


「………今のところはとくにありませんね、あ、そうでした、先ほど貴方が国王様に交渉を申し出たいと言いましたが、手はありますか?」


「あるぞ、まだ持ってないけど」


「と、言いますと?」


「今夜で盗、じゃなくて、取るつもりだ」


「「「………」」」


 ………

 視線が痛い。


───自業自得です、マスター。


「い、いや、俺はただ落ちた物を拾いつもりだけだから」


「はぁー、それで、その拾い物・・・というのは?」


「………聞かなきゃダメ?」


「「「………」」」


「分かった、分かったから、そんな視線を俺に向けないでくれ………貴族派からの上位貴族達の不正、違法奴隷売買、麻薬の売買、他国と繋がりの証拠等々」


「「「………はぁーー」」」


 呆れられた。

 何故だ、いいカードだと思うだけど?


「もし国王様からどうやってこれを入手すると聞かれたら、どう返答するつもりよ?貴方」


「ん?普通に答えてるつもりだが」


「何で?逆に警戒されちゃうよ」


「逆に俺だけが警戒されているのがお前等にとって動きやすいだろ、それに別に国王派と敵対するつもりはないしな、っていうか、この国の歴史とか裏とかの事情諸々はすでに知っているし、今更だろ」


「「「………」」」


 うん、警戒云々の前に、弱みをすでに握っていたし。

 うむ、流石アイ、自重を捨てていったな。


───………


「はぁー、無茶だけはしないで下さい」


「心配か?」


「………何を今更」


「まあ、大丈夫だ、準備・・もするつもりだからな」


「………また、何をやらかすつもりですか?」


 やらかす前提かよ。

 まあ、今回は否定できないけど。


「今はまだ秘密だな、終わったら教えてあげるさ」


「………」


 それにしても、こいつら、冷静過ぎないかね?

 俺、さっきの話に帰る方法・・・・を口にしないだけど。


「………なあ、お前等、帰る方法とかは聞かないのか?」


「「「帰るつもりはありませんので」」」


 ………

 ん?

 え、マジで?

 何かの事情があるのか?


「………何かあったのか?」


 質問終わった後に築いた。

 あ、あかん、これデリカシーのない質問やで。


「ああ、すまん、答え辛かったら答えなくていい」


「別に構わないわ、柊君、私の場合は親が決める人生には意味のない人生と思っていただけだからよ」


「私は親が毎日ケンカばっかしているから、家にいたくないだけ、おまけに最近、お父さんがいやらしい目で私を見ているし」


「跡継ぎは弟がいるですし、親は弟を期待していますから、私なんて不要です」


「お、おう、そ、そうか」


 家族関係をここでぶちまけてどうするつもりだよ。

 俺が居い辛いになっているじゃねえか。

 ここ、俺の部屋だぞ、俺を出てけと?


「柊くんは?」


「ん?何だ?」


「だから、柊くんは帰るつもりなの?」


「………まあ、この世界は楽しそうだし、地球に帰る理由もないし、精々ラノベとか漫画とかアニメとかの新作が悔やまれるくらいだからな………それもスキルで何とかできそうな気がするし、帰る方法は探すけど、帰るつもりはないな、っていうかすでに知っている」


「ふーん、そうなんだあ」


「反応薄いなおい」


「だって、柊くんが帰らないって知っているから」


「何故に?」


「同じ人種だから、あ、規格外の意味じゃなくてだけどね」


「同じ人種って、まあいいか」


「規格外のところは否定しないわね」


「………規格外になっている・・・・・・・・・のは自覚しているから」


「なっているじゃなくて、最初からでしょう」


「………」


 何でだろう?こいつら三人と口喧嘩に勝てる気がしない。


「それはそうと、柊君、今夜に動くつもりですか?」


「ああ、零時の時動くつもりだな」


 ていうか、アイ今は何時?


───九時三十三分です、マスター。


「そうですか、先ほど言った準備は?」


「後だな、っていうかお前等、そろそろ自分の部屋に帰れ、もう九時半だぞ、お前等がこんな時間に俺の部屋にいると知られたら、俺が刺される、主に男子達に」


「あら、私はここで一緒に寝てもいいのですよ」


「お泊り会だ~!いえーい!」


「そうね、一人一人の部屋が広過ぎるから落ち着かないわ」


「頼むから、自分の部屋に帰ってくれ、お前等三人がここで寝たらマジでシャレにならないから」


 男子達も、俺の理性も。

 ていうかさっきから月宮がベッドで寝転がるながら足をバタバタしている、スカートなのに。

 目のやり場が困るし、理性も持たん、ただでさえ美少女三人が近くにいるし。


「ふふ、顔はいいのに、女性に免疫はないのですね?」


「がふっ………い、痛いところを刺さりやがって、ていうか顔がいいか悪いかを知っているのはさっきだからな」


「そうよねえ、クラスではいっつもラノベを読んでばっかして、友達も作れないなんて、ホント残念ねえ」


「がはっ………い、いや、俺はただ、一人が好きだけだから」


「おまけに、中学の時にイジメっ子たちをコテンパンにしてあげく、社会に復帰できなくなるまで徹底的に始末したっていう噂があるから、余計に他の子たちが近付く辛くなるだったわね、本当に自重も知らない残念な人わねえ」


「かはっ………あ、あれは俺のせいじゃない、あいつらが俺をイジメようとするのが悪い」


 結局、三人が十時半近くまで俺をいじり倒すから、自分達の部屋に戻ってきた。

 あいつら、絶対にSだ!特に佐々木の奴!




───スキル【精神耐性】を習得しました

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