第6話 情報と覚悟

 俺───柊幸助ひいらぎ こうすけは今、侍女リッサに食堂へ案内されながら城内に歩いていた。

 天井が高く、凡そ10mぐらいの高さがあり、横幅は10人ぐらいが楽に横並んで歩いている。

 所々に高そうな装飾品が飾られており、あんまり下品ではないが、かと言って質素な感じもない。

 そして何より………


「………広いな」


「当然です、王城なのですから」


「お、おう」


 まさか返事がくるとは思わなかった。

 こいつは無口キャラじゃないのか?

 まあいいか。

 それにしても、遠いな、歩いた感じだとすでに15分ぐらいだぞ。


「リッサさん、食堂はそんなに遠いなんですか?」


「………ご安心してください、すぐ付きますので。それとヒイラギ様、言葉遣いを気を付ける必要はございません、私はただの侍女なのですから」


「そうか、なら許で話すよ」


 そこで言葉を切り、また無言で歩いていた。

 歩いてさらに10分。


「なあ、リッサ、流石に遠い過ぎるじゃないのか」


「………………ご安心ください、すぐに付きます」


 さらにさらに10分。


「………お前、迷子とかはしないよな、さっきからぐるぐる回るしか見えないんだが?」


「………………………ご安心ください、すぐに付きます」


 さらにさらにさらに10分。


「認めろ、お前は迷子だ」


「すみません」


「はぁー」


 どうなってんだ、こいつは。

 リッサもそうだが、リッサを俺の世話役にされる人もどうかと思う。


「リッサ、お前は新しい入った侍女か?」


「はい、2週間前に入ったばかりです」


 坦々とそう言いやがったよこの人。

 顔がデフォで無表情だから、悪びれないみたいになっている。


「はぁー、どうするんだ、これ?」


「取りあえず、人を探しましょう、その人に案内をお願いすれば、食堂に到着できます」


「…………」


 図太いなこいつの神経。

 仮にも王城に働いた侍女だから、せめて仕事場の中くらい把握しとけよまったく。


───マスター、新しいスキルを創ればいかがですか?マップ機能の。


 お、それいいな、流石アイ頼りになる。


───ありがとうございます。


 今後も使えるっぽいスキルだし、創ってみるか。


───マスター、スキル【並列思考】と【思考加速】を発動をすればいかがですか?


 ん、ああそうだな、デメリットもないし、別に構わないか。


───はい、マスター、あの二つのスキルが発動すれば、並列な行動を簡単にとれることができます。


 了解。

 んんと、まずは、【並列思考】っと。

 お、おおおお!

 すげー!思考がクリアになっている。


 じゃあ、次は【思考加速】

 2倍に加速すればいいか。

 何倍も加速するは後でやろう、今は2倍で充分。


 じゃあ、マップを創るか。

 スキル創造発動、スキル名【マップ】、効果、

 ・スキル保持者が自分の位置を把握し、自分がどこにあるのがマップウィンドウに表示されている

 ・他人の位置、建物の構造、立地が把握する事ができ、それをマップウィンドウに表示されている

 ・スキル保持者から半径10kmの立地情報がマップウィンドウに表示されている

 ・マップウィンドウが閉じ開けが可能

 ・敵、味方、他人、が別々の色で表示されている

  ・自分:白色

  ・適:赤色

  ・味方:青色

  ・他人:緑色

 ・新たなマーカーを作ることが可能

 ・マーキング機能あり

 ・サーチ機能あり

 ・鑑定の魔眼に連動可能


 っと、こんな感じでいいか。

 流石にここで少し自重する。

 半径10kmだけにとどまった。

 それも充分だが、これ∞に設定できるしなあ。

 自重自重。


───………マスター、本音は?


 ………∞になったら面白くないから。


───…………


 ん、んん、ま、まあ、取りあえず、スキル【マップ】の使用をアイに許可する。


───………使用許可をいただきました、ありがとうございます、マスター。


 お、おう、じゃあ、この城の食堂へ案内出来るか。


───かしこまりますた、前の角から右に………


 了解。

 因みに、【マップ】を創るから今までにかかった時間は0.589秒。

 すげーな、【思考加速】。


 と、そうだ、リッサを誘導しないと。


「リッサ、こっちだ」


「………勝手に歩かないでください、迷子になりますよ」


「お前だけには言われたくないな、それ」


 言葉を軽く返す後、俺達はまた無言で歩いていく。

 今度は先導したのは俺、リッサは後ろでついている。


 無言のまま歩く一分、食堂に到着した。


「………何故ヒイラギ様が城内の道を知っているのですか」


「感だ」


「………」


「んで、聞きたいんだが、この城に客用の食堂はいくつある?」


「一つしかいませんでしたが、それが何か?」


「そうか、で、また聞きたいんだが、何で誰もいないんだ?」


「遅刻なのでは?」


「………」


 涼しい顔で自分のミスを言いやがったよこの子。

 なんか頭痛を感じた気がする。


 と、そこで、一人の侍女が廊下に歩いてた。

 侍女は───リッサじゃない───俺達に築くと、その足取りでこっちに近づいてくる。


「リッサ、貴方、ここで何をしているのですか?」


「侍女長、私はヒイラギ様を食堂へ案内いたしました」


「勇者様をですか?何のご用でしょうか?夕食の時間ならまだ一時間後はずですが?」


「おい!」


「………」


 リッサはそれを聞くと、無言で自分のポケットを探ると、懐中時計を取り出す。

 そして、懐中時計を確認すると、それをポケットに戻した後、言い放った。


「どうやら、私の懐中時計が壊れましたので、時間を間違えました」


「「………」」


 頭が痛い。

 結局、侍女長───マーリスという名前らしい───がリッサをそのまま説教して、俺を置いてけぼりにした、それも30分程度。

 あらかた説教を終えると、はっと俺に気が付くマーリスさん。

 こいつもこいつで結構ぬけているなあ。

 母娘なのかな?髪と瞳の色も同じだし、顔だちもどことなく似ている気がする。


「申し訳ありません勇者様、この子は後できっちりと罰を与えますので、どうかお許しを」


「ああ、うん、人を30分ぐらい待たせてお前もお前だが、取りあえずわかっ「申し訳御座いませんっ!」………」


 俺が言い終える前にマーリスさんがいきなり土下座をした、それも綺麗なフォームで、俺からの視線に完璧な位置、そしてまるで手慣れたものを披露したかように………。

 ………手慣れているな、この人。

 こんなんで勤まれるの、侍女長って。


 結局、他のクラスメートがくるまでに俺はマーリスさんをなだめることになってきた。



………

………………

………………………



「つ、疲れた」


 俺は今、食堂の中で、食卓に顔を突っ伏している。

 あの後俺はすごく頑張った。

 マーリスさんはどうやら、度々やらかしたのようで、結構厳しいお仕置きを受けたらしく、だから、一つのミスであんな風に必死で誤っているということらしい。


「あれでどうやって長になってんだよ」


 そう呟きながら周りを見回すと、他のクラスメートがすでにちらほらいる。

 まだ全員ではないが、他のクラスメートも各々のグループに和気藹々で談笑している。

 こいつら、呑気だなあ。

 普通はもっとこう、緊張とか不安とか感じで空気が重いっていう感じになっているじゃないのか?

 それとも、まだ現実味がないとか。


 そう考える時、不意に後ろから呼びかけられた。


「柊君、早いですね」


 佐々木だ。


「ああ、まあな、それよりお前、もう冷静になったか?」


「ええ、おかげ様ですね」


「そうか、ならよかった」


 そう話しながら、佐々木は自然に俺の隣に座っている。


「それで、貴方のスキルで何か調べた事はありますか」


「ああ、あるぞ、ていうか大体調べて終わったぞ、国、地理、種族、魔術、ギルド、と魔王だな」


「………あんな短時間でそんなにですか?」


「ああ、お前も知っているスキルの一つのおかげだけどな」


「システムアシストですか?」


「流石同士、即座になんのスキルを当てている」


「それで、どうでしたか?」


「取りあえず、この国はセーフだな、いや、王家───国王派がセーフと言った方がただしいか」


「と言うことは完全に安全ではないと?」


「ああ、この国には三つの派閥があるでな、国王派、貴族派、中立派って感じだ。んで、最初には国王は勇者召喚の義をするには反対するが、他の国に圧力かけられてやむなしって感じで、渋々勇者召喚の義をやる。んで、国王が勇者召喚の義をやりたくない理由は、〝他世界の住人を巻き込む必要はない、自分達の世界は自分達が守るべきだ〟という理由が、建前で、本当の理由は〝勇者の権利の奪い合いと言う名の戦争が目に見えているから、魔王云々の前に人類が滅ぶからマジで勘弁して〟という感じだな。で、実際、貴族派がすでに〝勇者を使って世界統一計画〟を考えているので、貴族派に何されているか分からないってことだ」


「そうですか、それで対策は?」


「城から出る、と、言いたいところだが、ちょっと過激の国もあるから、この国の後ろ盾を失うのは勿体ない、国王との交渉次第という方針で行くつもりだ」


「その過激の国は?」


「ローランド帝国とリシアス神聖王国だな」


「典型的な悪の国ですね」


「まあ、武力と宗教から作られた国だからな、闇が深い、つうか帝国はともかく、リシアス神聖王国の発端の宗教が崇めた神が初代法王とか、詐欺にもほどがあるぞ」


「………それ、国家秘密なのでは?」


「ああ、そうだな、他の国の王家すら知らないだな、知っているのは代々の先代法王が次の法王に伝われるだけだからな」


「………」


 国家秘密を簡単に暴く能力、流石アイ!最高のアシスタントだ!もうアイ無しで生きられないよ。


───お褒めに頂いて光栄です、マスター。


「はぁー、まあいいです、それで、交渉のカードは、すでに持っているですよね?」


「いや、まだ「麻耶、隣、いい?」………」


 俺が言い終わる前にまた後ろから声が聞こえた。

 そこに視線を向くと一之宮と月宮がいた。

 俺は無言で前髪をかき上げる。

 そうしないと、女子月宮一人がびくつかせるながら食事とか可哀想過ぎる。


 そう考えた俺だが。

 なんか、周りが徐々に静かになってきた。

 それだけじゃなく、視線が俺に向かってくる。

 なんだ?

 自分が知らないなら他人に聞けって言う感じで。


「なんだ?お前等?」


「………成る程、魅力値が五千というには納得できますね」


「何か知っているのか?佐々木」


「………自分の顔は見たことないですか、柊君?」


「いや、普通に鏡で見たんだが、普通だろ?」


「はぁー、そう言うと思いましたよ」


「なんか変なのか、俺の顔?」


「柊君、逆よ、貴方、その顔立ちでよくクラスに目立たないわね」


「え?逆?」


「いいですか、柊君、貴方の顔面偏差値が普通だったら、そこの朝霧君は顔面偏差値が最底辺になります」


「ちょっ!委員長、何で俺!?とばっちりもいいところだよ!」

「ぎゃははは!確かにそうなるな!」

「斗真、ドンマイ」

「え!嘘でしょ!超イケメンなんだけど!」

「うわ、クールイケメン、超タイプ!」

「アタシ、狙っちゃおっかなあ」


 どうやら、俺の顔立ちはイケメンの部類に入るらしい。

 いや、知らんよ俺、顔とかファッションとかには疎いからな。


「ふー、まあいいです、それより皆さん、話しがありますので、食事の後、少し残っていてください」


「「「「りょーかーい」」」」

「「「「はーーい」」」」


 ノリが軽いなおい!就学旅行かなにかか?

 頭の中にそうつっこむ時に不意に奥の扉からマーリスさんが入ってきた。


「勇者の皆様、夕食の準備がすでに整いました」


 マーリスさんがそう言い終わると、次々に料理が運ばれた。


 アイ、食べ物、飲み物と食器に毒とか催眠効果の薬があるかどうかを調べてくれるか?


───少々お待ちください………どうやらその類の毒や薬はいないのようです、マスター。


 そうか、ありがとうアイ、助かる。


───どういたしまして、マスター。


「では、勇者の皆様、ごゆるりとご食事を楽しんでいてください」


 そう言い終わるマーリスさんが音を立てないまま、食堂から出ていった。


 取りあえず、食事の時間だな、食べるか。


 佐々木は俺が食べ物を躊躇なく食べると、ほっとした後、無言で食事を始めた。

 どうやら、毒見らしい、まあ別にいいけど。


………

………………

………………………


 食事終わると、皆が自分の席で座ったまま佐々木の話しをまつ。

 何ともまあ、扱いやすいな人達だなあ。

 それを見る佐々木はゆっくりと話しを始めた。


「さて、全員もすでに食事終わったですから、話しを始めます」


「話しってなんだい?佐々木さん」


「ふー、今後の事と先ほどの行いです」


「先ほどの?」


「それは最後にしましょう、まずは、今後の事についてです」


 そう言い終わると、佐々木は無言で俺に視線を向ける。

 自然に他の奴も俺に視線を向ける。

 え、ここで俺に振るの?


「いいですか?柊君?」


「は?何が?『───マスター、推測からすると情報漏洩の危惧かと思います。』………ああ、大丈夫だ、食事の途中から済ませた」


「済ませた、ということは………?」


「ああ、あるな、天井の裏に」


 俺がそう言うと、皆が全員天井に視線を向く。

 うん、あるんだよ、人が、アイからの話しだと、俺がマーリスさんをなだめた途中でやってきた。

 アイ、まじ最高!


───ありがとうございます。


「そうですか、貴方がすでに処理・・していましたか?」


「処理って………いや、まあ、状況は処理終えたが、あいつは処理・・していないぞ」


「そうですか、では、話しを「待って、さっきから何の話?」………いえ、ただ盗み聞きする人がいましたので、私達の話しを聞かれないようにするだけです、柊君が」


「柊君が?そんなスキルをもっているの?」


「そんなもんだ」


「では、まずは各々のステータスをすでに確認していますか?」


「おう、確認したぞ」

「すてー、たす?何それ?」

「ゲームかよ」


「どうやら、まだ確認しない人もいましたね、では、まずは【ステータス】を念じていてください、目の前に反騰目の板が現れるはずです、それが貴方たちのステータスです」


「うわ、ホントにでた」

「わわ」

「へえ、凄いだねこれ」

「ハイテク」


「見えましたか、ではそのステータスの内容を簡単に他人に教えないでください、あなたたちが信頼する人だけに教えていてください、そのステータスはある意味あなた達の弱点を確認できるものですから」


「皆で解除していないのかい?佐々木さん?」


「いえ、それは自分が決めたことなんですから、無理強いは出来ません」


「そうか、分かった、ちゃんと自分で考えるよ」


 いい判断だ、下手にこいつらのスキルや能力を見させてたら、後で銚子に乗っている奴が出るかもしれないから。

 まあ、少なくともこっちはこいつらのスキルを把握しているから、大丈夫だろ。

 魅了とか催眠とかのスキルはないし。


「では、次に、あなた達はそのステータスで魔王相手に勝てると思いますか?」


「いや、これまだレベル1だから、まだできねえかもしれないけどよ、レベルを上げたら勝てるんじゃないのか?」


「それです、〝レベルを上げたら〟ですか?そのレベルを上げている方法を知っているのですか?」


「いや、まあ、無難に魔物を倒すとか?」


 男子生徒の一人が佐々木に答えるが、佐々木が〝やはり、そうなりましたか〟と言いたげなかんじでため息を吐く。

 そして佐々木は俺に視線を向けると、


「………柊君、お願いします」


「なんで俺、まあいい………そうだな、〝魔物を倒す〟っていうのはちょっと違うな、正確には〝敵を殺す〟が無難な表現だな」


 俺がそう言うと、全員が黙り込んできた。

 佐々木が全員をぐるりと見回すと、たたみかけるように全員に訪ねてくる。


「あなた達には〝生き物を殺す〟に覚悟をお持ちですか?」


「うっ、それは」


 言いよどむ男子生徒。

 まあ、それはそうだわな。

 平和な現代日本に生まれ育つ人達には酷な話だからな。

 俺?スキルでなんとか耐性をとるつもりだ。

 ズルいって?チートだからな。


「じゃあ、佐々木さんはこの世界の人達を見捨てるつもりかい?」


 そこで天宮が少し怒った感じで佐々木に尋ねる。

 おおう、正義感が溢れてでいらっしゃる。


「そういう話ではないのです、天宮君、私が言いたいのはあなた達の考えなしの決断がどれだけ浅はかな事を話しているんです、〝せめて全員の意見が一致する前に買ってに話を進めないでください〟と言いたいのですよ、天宮勇也君・・・・・


「うっ、ごめん」


 おおうっふ、佐々木も怒ってでいらっしゃる。

 言葉に怒気はないが、何となく冷たいものを感じている。

 一之宮と月宮を見ると、二人が震えている。

 ふむ、やはり様つけをするべきか、佐々木に?


「はぁー、結果的には魔王討伐の依頼を受ける方針になりましたので問題はありませんが」


「じゃあ「ただし!そのような行動をもう二度とやらないでください」………あ、はい」


 うむ、正しい判断だ天宮君。

 そこで逆らえたら君の命がないと思いなさい。


 さっきのを根に持っているなあ、佐々木の奴。

 めっちゃいい笑顔で天宮を見つめている………目が笑っていないけど。


「ふー、それで、どうですか?あなた達に覚悟はありますか?」


 佐々木がまたそれを聞くと、他のクラスメートはまた黙り込んできた。

 数分たったのち、不意に天宮が席から立ち上がると、ゆっくりと言葉を発した。


「皆、さっきはごめん、佐々木さんが言った通り、僕は勝手なことをした」


 天宮がそう言いながら頭を下げた。

 そして、そのまま話し続けた。


「だけど、僕は、誰かが苦しんでいるのを知っているながら、それを無視する事なんて出来ない、僕は苦しんでいる人達を救いたい。でも、僕一人じゃそれら全てを救うことなんて到底できない、だから、これは僕の我儘だけど、全員でなくていい、皆の力を貸してもらえるのかな?」


 頭を下げるながら、そう言う天宮に、他の生徒が無言で見つめている。

 何ともまあ、正義感の強い奴だ。

 全てを救う、とかねえ、たった18人で何ができるのやら。


───マスター一人でできるのでは?


 ………いや、まあ、できるっちゃあできるが。

 後が面倒なのでパスだ。

 それにしても、天宮の奴、カリスマ性が高いな、他の生徒なんか燃えているぞ。


「しゃあねえなあ、勇也がそう言うなら、俺もやるしかねえだろ」


「亮介、ありがとう」


「な~にけちくさいこと言うんだよ、勇也、お前と付き合うのが何年だと思ってんだよ、まったく」


「はは、そうだね」


 おふ、幼馴染か?

 それともアッチの趣味か?


───幼馴染かと思います、マスター。


「ゆ、勇也君がそう言うなら、私も力を貸すよ」

「勇也くん、かっこいい」

「素敵」

「チッ、勇也にだけいい場面が取られたぜ」

「ふっ、どうやら俺も本気を出すしかないか」

「いや、お前は何様だよ」


 案の定、他の生徒が〝勇也についていく〟という流れになっていく。

 佐々木を見ると、呆れてたかように、ため息をつく。

 どうやら、中途半端な覚悟はお気に召さないらしい。

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