真夜中のラブレター

くろまめ

真夜中のラブレター



ラブレターを書くなら夜に書け。



あれは誰が言っていたのだろうか。


朧気な記憶をいくら辿っても出てこない。


「まぁ、いいか。」


不意に呟いてみても返事なんて来ない。


当然だ。今は真夜中だし、そもそも一人だ。


貴方は今何をしているのだろうか?


貴方は今何を思っているのだろうか?


貴方もこの月を眺めているのだろうか…。


どこかで見たような言葉を並べては、目の前の出来損ないを睨み付ける。


「思い出したわ。俺作文とかいつも書けなかったわ。」


文才もろくに持たない癖に何故筆をとったのか。


何を思い上がったのか。


恋とはそもそもそういうものなのかもしれないが。


貴方は今何を思っているのだろうか?


貴方は今何をしているのだろうか?


貴方もこの月を眺めているのだろうか…。


今日もお決まりの言葉を並べては目の前の出来損ないを睨み付ける。


何も考えなくても次の行動に移る位は繰り返してきた。


昨日も、今日も、また明日も…



想いの込められないラブレターばかりが増えていく。


「大体、今時手書きって時点で無いよなぁ。」


返事なんて来ない。当然今日も独り。


ただの一文字も記されぬまま。


毎日ばかりが繰り返されていく。






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