第86話【大黒柱としての威厳は守りつつスタイリッシュかつ華麗に……】


 数々の参加者を薙ぎ倒し暴れまわる〝バルファロ君〟

 そのポイントおよそ〝20000〟強。


 鬼のテンザは、先ほどの疲れのせいか休憩室にいるようだ。


 MCまかいちゃん『これは、大変なハプニングが起こってしまったぁぁああ!!誰か暴れる猛牛を止められる者はいないのかぁぁあ!!』


 現在バルファロ君の反撃ポイントは〝数百人+打撃ポイント×30秒〟よって、30勝機は見える――――


 阿鼻叫喚と人々が逃げ仰せる中、ユリシャ妃は家族を優先して影武者に声をかけた。


『あなたっ!!フーちゃんは任せたわよ。先に逃げてっ!?』


『しかし……』影武者が何かを言おうとした矢先、口元に触れるユリシャの指。


 どうやらユリシャは影武者の身長4Mを跳躍したようだった。


『あなたは仮にも一国の主よ?ここは――――私がどうにかするから……』


 一瞬だけ瞳が合うと互いに心を交わしたのか、有無を言わさずに娘のフレデシカを抱いて走る影武者。


 ユリシャが覚悟を決め、その逞しくも可憐な背中を影武者が横目で見る……


 休憩室に居るはずの現れた。


『あん?……雑魚共が群がってめんどくさい事しやがったな?』


 MCまかいちゃん『なななんとっ!?鬼のテンザ再臨だぁぁあ!!お前に命運が掛かってるぞ!?』


 テンザは並外れた跳躍でバルファロ君の頂き15Mへと一気に到達する。


 そして自慢の拳をバルファロ君の脳天にブチかます。


『いいから俺にひれ伏せよ牛野郎!!――――』


 拳と石像がぶつかり合い衝撃波が会場中を襲い、セットも跡形もなく吹き飛ばされた。


 最早、地獄絵図のステージを誰が救うのか?……


 唯一立っているのは、プロ根性のMCまかいちゃんとユリシャ妃のみだった。


 バルファロ君の動きは止まり、この戦いに終止符が打たれたかに思われた――――だが、絶望へと変わる。


 MCまかいちゃん『あちゃあ……そういえば攻撃しちゃ駄目だった――――』


『ウゴァッ!!……』と、テンザの声が虚しく聞こえた瞬間――――


 バルファロ君の頭上にて鎮座していたテンザは、強烈なパンチにより天上の彼方へと吹き飛ばされた。


 絶体絶命、危機的状況でもプロ根性を見せるMCまかいちゃんは続ける。


 MCまかいちゃん『お~っと、ここに来て額のポイントメーターが振り切れたぁあ!!』


〝 99999〟→〝時間無制限+測定不能〟


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