第85話【強者は内面も強く美しくあれ】


 刑測鬼を抱えるユリシャ妃を〝偽善者〟と罵る者や、〝慈母の化身〟だと讃える者。


 結果としては二者択一だったが、改めて影武者は思う――――母は強しと……。


 MCまかいちゃん『少しだけトラブルがありましたが、大会は続行です!!』


 まかいちゃんの『次はコチラっ!!』と言う一言で現れたのは〝犯血魔死吽パンチマシーン〟と言う、牛の形を模した巨大な石像。

 体長15Mと巨大な石像は見るものを圧倒し、そのモデルは、3000人強を突殺した伝説の闘牛〝バルハァロ〟だとされている。


 MCまかいちゃん『今回のルールとしましては30だけ、何をしても自由とします』


 MCまかいちゃん『点数は各々の部位名が額に点数となって現れます!!複数人での参加オッケーです!!』


 まかいちゃんの掛け声を皮切りに参加者が一斉に群がる。


 殴る者、蹴る者、鈍器や武器、はたまた魔法を使う者等現れて、皆が自由に牛の像目掛けて総攻撃をした。


 だが、そんな下賎げせんな事を嫌うユリシャ妃。

 先程救出した沢山の刑測鬼に群がられながらも、『何か、忘れてないかしら?……』と口にする。


『どうしたユリシャよ?主も参加せぬのか?』と影武者魔王はとぼけた顔で言った。


『あの形と荒々しい雰囲気……昔、おじいちゃんが討伐した〝ハロハロ?〟にそっくりね。実家に標本あるから間違いないわ――――』


 そんな会話を繰り広げる魔王夫妻を他所に、牛の額には各々のポイントが表示される。


 だが、それと同時にさっきまで黒褐色こっかっしょくだった像が、見るも鮮やかな赤に染まっている様な――――


 MCまかいちゃん『あっ……いっけな~い。皆様に――――その像……反撃しますからね!!』と、語尾に沢山のハートマークが視認出来るその言葉が放たれた瞬間。


 牛型の像〝バルハァロ君〟の瞳が光出してた。

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