第84話【魔界よ。轟けっ!!跪け!!これが魔王の妃様だ!!】


 MCまかいちゃん『お~っと。〝鬼のテンザ〟の後にステージ上へやって来たのは、何ともプリティな見た目の女性だぁぁぁ!!』


 MCまかいちゃん『ふむふむ……事前の資料アンケートによりますと――――

 愛称:ユリちゃん

 職業:専業主婦

 身長:1300mm

 体重:非公開

 年齢:非公開

 豪華景品で何したい?:愛する家族と旅行 !!

 ――――とのことです!』


 テンザのお陰で会場中のボルテージはMAXとなり、魔王家族以外、


 だがそんな事を一蹴するかの如く、彼女の殺る気は違った――――


 『私のにしては上出来じゃない?格の違いって奴を見せてやるわ……』


 会場中の熱気はテンザコールで溢れ、誰もが彼の偉業に期待していた。


 そんな事に気にもしないユリシャは、一段、また一段とステージを登る度に、震度2~3程の震動が魔界中を揺らしている事を誰もが知らない――――


 それに負けない程の大音量で会場に響くマイクパフォーマンスを疲労するMCまかいちゃん


 MCまかいちゃん『さぁ、悪力刑最後の挑戦者のユリシャ選手!!何か意気込みはありますか?』


『フゥ……何も無いわ。さぁ……早くやりましょ?』


 冷静沈着に返答するユリシャ妃。


 それでは『3・2・1……始めっ!!』の合図で勢い良く振りかぶるユリシャ妃。


 だが、その手は先ほど〝鬼のテンザ〟に握られた刑測鬼を優しく持つ。


 胸に抱え、複数の刑測鬼も同様に回収する。


 痛みに耐え必死に頑張ってきた刑測鬼を労い

 ながら『あなた達、凄く痛かったわよね?――――お城で雇ってあげるから、こんな仕事は辞めなさい?』とユリシャは天使の笑みで口にした。


 事態が理解出来ない会場と魔王家族は絶句した。


 MCまかいちゃん『お~とユリシャ選手!!刑測鬼を棄権するのかぁっ!!』


 通常、犯血魔死吽パンチマシーン+悪力刑の得点を足した数値で決勝8名へと進める。


 だが、悪力刑を棄権したユリシャも犯血魔死吽パンチマシーンを出来るが、得点上不利には変わらない。


 しかし、生前の魔王さえ恐れた〝狂婦きょうふユリシャ〟は違った。


『あら、勘違いしないでよね?私はあくまでこの子達がしないだけ。あと……こんなことやらなくても次で


 そう言ってステージ上を両手一杯の刑測鬼を抱いて、降りていくその姿はまさに〝能あるる嫁は爪を隠す〟に相応しいと思った。


【※このお話はバトル要素を含んでおりません】

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