第69話【強者とは鈍感故に強いのである】

憎虚憎虚ニコニコ幽怨血ゆうえんち内お土産屋さん〟



『ママ上~そんな事より、レジの人も居なくなっちゃったよ?』


体長2Mの長女フレデシカは、不思議そうな顔でママ上、1300mm級のユリシャを見下ろした。


悩ましそうな顔で一応考えるが、せっかく持ったお土産を戻したくないのか、人を探すこと数秒……


『そうねぇ……店内に私達以外、誰も――――あっ!?フーちゃんまだあそこにいるわよ?』


指を差した15M先には、一般客らしき人影がお土産売り場で.吟味ぎんみしているようだ。

フレデシカは何か考え事をすると、やっと生えた角を触る癖があり、アイデアを絞りだすと、頭の中で閃いた気がした。


『そうだっ!!ママ上あの人達に、お会計かいけーお願いすれば?』


『それもそうねっ!!』と言って、片手で数十段も積み上がったお土産を持って、何やら話合いをしている3人組へと近づいた。





一方――――身バレ防止のため変装をする死天王改め三獣士達は、魔王様夫妻の警護を忘れ、お土産売り場にて買い物を楽しんでいた。


買い物かごを大量に使う〝覇将ペコリーノ〟。

『フム、叩くと音と虹色に光る刀か、これは珍しい。我が弟子達に300本程買って帰ろう……』


自らの顔が印刷されたプリントクッキーに激怒する〝竜蔦ベライザ〟。

『プリントクッキーも中々種類が豊富ねぇ。あら嫌だっ、私の名前があるじゃないの?どんな顔かしら――――げっ!?……デザインした職人マジで許さん』



乙女の様にはしゃぐ〝死々舞パリシ〟。『幸幸幸幸幸幸この人形魔王様にそっくりだ!!』


彼等はまだ知らない――――後方より近づく魔王に……。

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