第68話【呑気なのは本人達だけである】
物凄い速度で落下していた影武者は、すっかり忘れていたことがある。
魔王様が魔王様たる絶対的な代物それは――――〝覇者の証〟を着けていたことに……
★
一方地上では、こんな放送が流れていた。
『――――超魔力反応が上空より確認されました――――園内にいる皆様は直ちに指定の避難先へご移動並びに、従業員軍関係の皆様は、対処の程願います』
放送を聞いた群衆は蜘蛛の子を散らすように、散り散りとなり親とはぐれる子供や、転倒し怪我をするものが現れた。
『おいっ!!魔王様
園の係員がそう言うのも、決して不思議ではない。
魔王様と並ぶ魔力など、あの方以外あり得ないのだ。
『くそっ、魔王様
地上は1臆年に一度訪れるとされる〝災厄の日〟並の大パニックだった。
ちなみに――――通称あの方とされる。
ユリシャ妃は、娘フレデシカと一緒に買い物を楽しんでいた。
『あらっ……混雑しててレジまで二時間って言われたけど、誰もいなくなって先頭まで来れたわ!!ラッキー!!』
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