第38話【部下からの素敵なサプライズ】


 死天王にも強さの序列があり、左端の紅一点である【竜蔦】が弾ける笑顔で、記録装置に向かい始めに喋りだす。


「私がまだ未熟で臆病者だった頃、魔王様の優しく温かい言葉に何度も救われ、こうして死天王の一角として軍を引き入れる様になりました。ある時は、育ての【父】として、そして私の魔生を変えてくれた、【恩師】として、これからも国民全員の素敵でユーモアがある魔王様でいてくださいね。以上、ベライザでした!!」


 普段は【死】、【失】、【尸】としか話さない【死死舞】は深呼吸をし、丁寧な口調で話し出す。


「おいらが魔王軍に入り、こうして今でも【生】を実感できるのは、慕ってくれる部下や素敵な同僚、偉大な先代魔王様や現魔王様が、この素晴らしい国を統治し、民衆や下の者にも不平等や分け隔てなく接しているからこそだと思います。この魂は永劫続く国のために捧げます!!以上、パリシでした!!」




『勇者一行も恐れ、魔界きってのモテ男でイケメンの若き英雄にして、魔王軍随一の闇剣の使い手であり、音を置き去りにするその剣速は、歴代魔王が絶賛する程の実力とうたわれ、皆が口を揃えてこう言う、もはや【神の域】……で、あると――――』



 ――――というテロップが、ネオンを放ちながら左から右へ流れており、【覇将】と書かれた文字は、死天王達の上で華麗な、ブレイクダンスをしている。


 ※編集、音響、照明、演出、監督、は全て【覇将】が行いました。



【母上へ 改めて見ると、魔王様ほんものの偉大さと、慕われ方が同族として誇らしく思います。僕もいつかあぁやって慕われたいなぁ――――もう、本物だけどね】

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