第37話【死天王が優秀過ぎて目から汗が……】


【混沌】は、急いでチャックを上げ、冷や汗をかいた髪を掻き上げると、涼しげな顔でこう言った。


「皆様、余興はお楽しみ頂けましたか?普段はお堅い立場の死天王わたしたちですが、喧騒な雰囲気を和ませようとほんの細やかなサプライズでした!!」


 両手を大きく左右に広げ、【ジャジャーン!!】とでも効果音が流れそうなポーズだが、効果音担当の【覇将】が、仕事をサボったせいで無音の空間が出来上がる。


 哀愁漂う混沌の背中を【竜蔦】が、優しく擦りながら慰めると、画面外へ消え行く男の、後ろ姿が小刻みに震えていた。


 画面内では静かだが、会場では拍手喝采の大盛り上がりを見せ、皆温かい雰囲気が漂っていた。


『続きましては……』と言うテロップが数秒流れ、画面が切り替わりそこに現れたのは、死天王が全員揃い仲良く肩を組んでいる姿だった。


【母上へ 名言が出る予感だよ!!】



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