第4話 クラフトしてみよう
さて、
鞄とかいいかもしれない。果物はできるだけ確保しておきたいから持てるだけもってきちゃったけど、手がふさがってると不便だしね。
そうと決まれば早速試してみよう。材料になりそうなのは……、この『モルナ』の葉っぱで良いかな。なんか地球でも観葉植物としてみたことがあるような、大きな葉っぱの植物。
あ、無心でむしってたら思ったよりたくさん確保してしまった。そのせいで『モルナ』数本が丸裸です。もっと分散してむしればよかったね、ごめんよ……。
だけど、その尊い犠牲のおかげで素材は十分に確保できたね。集めた葉っぱを一カ所に集めってっと。
「
お、できた! まぶしく光とともに――みたいな演出もなくポンと軽い音を立てて鞄が出現。さすがに多すぎたのか、葉っぱも半分くらい残ってる。
鞄は明らかに葉っぱ製とわかる代物。ただ、かなり丁寧に葉っぱを折り重ねているみたい。工芸品といっても良いレベルかも。少なくとも、自力で作ろうと思っても無理だろうね。
「おお、意外と丈夫!」
『モルナ』の葉っぱが頑丈なのもあって、ちょっとくらい重い物を入れてもびくともしなさそう。確保していた林檎と柿を全部入れてみよう。うん、問題なし!
これで運搬が楽になるね。葉っぱ製だから時間経過で干からびてダメになっちゃうかもしれないけど、しばらくの間なら問題ないね。
さて、次は何を作ってみようかな。葉っぱも残っていることだし、これで何か作りたい。水筒とかどうだろう。さすがに無理かな?
ものは試しってことでチャレンジしてみると、またもや軽い音を立てて小さめな袋のようなものが出現。さすがに筒状にはならなかったみたい。まあ、使えるなら形状は問いません。でも、本当に使えるのかな。そんなに密閉性はなさそうだけど。
あ、やっぱり無理だ。水を入れたらちょっとずつ漏れてる。もっとダバァってるかと思ったけどそこまでじゃないね。でも、飲もうと思ったときにはなくなってそう。これじゃ水筒としては使えないね。小物入れとして使おう。
どうやら
まあ、水筒はとりあえずいいかな。しばらくは川沿いを進むつもりだし。
他にもいろんなものを作ってみたいところだけど、物が増えすぎると移動が大変になりそうだし、後は石のナイフでも作って終わりにしよう。あんまりのんびりしてると日が暮れてしまうからね。それまでに拠点になりそうなところが見つかるといいなぁ。
■
川沿いを歩いてたらゴォゴォと音が聞こえるようになった。滝かな?
しばらく歩くと、やっぱり滝があった。絶壁を切り裂くように流れ落ちてる。水しぶきもすごい。きっとマイナスイオン大放出中ですね。
崖は見上げてると首が痛くなりそうなくらいには高い。断層かな。地質学者が見たら大喜びするかもしれないね。この世界にいるかどうかは知らないけど。
そういえば何も考えずに川上に向かって歩いてたけど、これじゃ、どんどん森の深くに進んじゃってるね。人里に降りるんなら川下に向かった方がよかったかも。まあ、そのつもりはないから問題ないけどね。
滝の周りは池みたいになってる。その周辺も割と拓けていて、拠点にはしやすそうだね。片側が崖になっているから、そっちの方はあまり警戒せずに住むのもいいし。もちろん、水の確保がしやすいのもグッド。ここを拠点にしようかな?
あ、でに野生動物とかの水飲み場になってる可能性はあるよね。ちょっと離れた方にした方がいいかもしれない。滝の音もうるさいし。
ということで、今度は崖に沿ってちょっと歩く。でも、歩き通しだったから、正直疲れてきた。もう、この辺りでいいかな。滝の音も小さくなってきたし。よし、ここを拠点にしよう。
しばらく休憩――と行きたいところだけど、寝床とある程度の安全は確保した方がいいかな。日が傾き始めてるからあまり時間に余裕がなさそうなんだよね。できれば簡単な小屋くらい建てたいけど、木材を確保する時間はないかも。うん、建築は明日以降かな。
となるとどうしよう。葉っぱを使った簡易テントくらいならできるかもしれないけど、割と危険な森らしいし、ちょっと心許ないよね。洞穴でも探した方がいいかもしれない。快適とはいえないと思うけどね。でも、ちょっとサバイバルっぽくて楽しいかも。
あ、でも、洞穴の場合、先に住んでる動物とかがいるかもしれない。ルームシェア可な懐の広い先輩住民ならいいけど、下手したら食料としてパックンチョされちゃうかな。……うん、されそう。
だったら、自分で掘るしかないのかな。でも、崖はカチカチに硬くて、スコップとかではとても掘れそうじゃないんだよね。これをなんとかできそうな道具は……う~ん、思いつかないなぁ。困った。
いや、石を素材って考えればいいじゃないかな? 例えば、石壁をつくるためのパーツを作ろうと思えばどうだろう。
というわけで実験、実験! 一辺30cmくらいの立方体の石材をイメージして、
おお、崖の一部に綺麗に切れ目が入ってる。あ、でも隙間ピッチリすぎてどけれないや。というか、このサイズの石をどけていくのもかなり大変そうだよね。もっと楽にできないものかな。
そうだ、ボウリングの玉を作ろう! それなら適当に転がせばいいから楽ちんだね。せっかくだから、ピンも作っておこうかな。規格とかしらないから適当だけど。
ふぅ、ようやくなかなかのサイズの洞穴ができた! 洞穴と言っても
あと、副産物としてボウリングセットがたくさんできた。保管するところはないので野ざらしでいいよね。どうせ使う予定もないし。
そろそろ、薄暗くなってきた。できれば光源が欲しかったけどちょっと難しいかな。火起こしくらいなら作れると思うけど密閉空間で火は危ないからね。疲れてるんだし、すぐ寝ればいいか。
余った石材を石壁にして洞穴の入り口に配置しよう。これで侵入者を防げればいいなぁ。もちろん、壁には空気穴を開けておく。そこからほんのわずかに光が差し込んでるけど、ほとんど真っ暗だ。これは何にもできそうにないな。ちょっと林檎でもかじってから、寝てしまおう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます