第4話 名城はこういうの見て喜んでるんでしょ?
「ねえ名城。貴方はクラスのボッチで根暗なわけだけど。それに加えて馬鹿なのかしら?」
「うるせーよ。人のテスト結果勝手に見るなよ」
その日の昼休み。
今日返却された中間テストの結果を、当たり前のように俺の机から取り出して勝手に見ている金沢。そういうの、プライバシーの侵害って言うんですよ。知ってます?
「はぁ……世の中はどうしてこんなにも不平等なのかしら。ちょっとクラスを見渡せば、名城より良い男はたくさんいる。なのに……どうしてかしら? どんなに目を凝らしても、名城よりダメな男は見当たらないのよ!」
「うるせぇ」
ホントさ、コイツの性格の悪さって、どういう環境で育ったら完成すんの?
ここまで清々しいほど性格悪い女って、会ったことないんだが。
「……なんて。そんなことを話すために、私はわざわざ名城と一緒に臭い飯なんか食ってないのよ」
突然、金沢の真顔。
コイツ感情の起伏激しいな。
「じゃあさっさと用件話してくれますかね?」
「ふふっ。その、早く面倒くさいことを片付けようとしている名城の顔。嫌いじゃないわ」
俺はお前が今日大嫌いになったけどね。
「名城は、掃きだめ委員って、知ってるかしら?」
「……は?」
掃きだめ委員? なんじゃそれ。そんなの学校の委員会にあんの?
俺がぽけーっとした表情でいると、金沢は言った。
「いや、なんでもないわ。知ってるかどうかを知りたかっただけだから。いつか検索してみると良いわよ。面白いから。そしてこの話もまた、名城に話したかったことではないのよ」
「あっそ」
さっさと本題入ってくれない?
「実はね? 私、『名城に話しかけること』が、罰ゲームではないのよ」
「へぇ」
じゃあなんで話しかけたんだよ。さっき言ってたことウソかよ。
「『名城にエロ雑誌を見せて、反応を見る』……というのが、罰ゲームなの」
…………。
………………。
「はぁああああああああああ?」
俺が絶叫している間に、金沢は自分の鞄の中から一冊の雑誌を取り出した。
名前は、『プレイガール』。所謂エロ雑誌というものだ。
金沢はぴらっとプレイガールの一番後ろのページを開くと、全身裸の女性が恥ずかしそうな表情でこちらを見ているページを俺の顔の前まで突き出して、言った。
「ねえ、名城に聞くわ。貴方はこういうのを見て、どう思うの?」
雑誌を少し横に動かして、金沢は今日一番の可愛らしい笑顔で俺の顔を覗き込んできた。
「いや、教室で女が白昼堂々エロ雑誌おっぴろげてる時点で頭わいてると俺は思うわ……」
その雑誌、誰の所有物?
聞きたいんだけど、誰の所有物?
満面の笑みで俺の反応を楽しんでるみたいだけど、こっちはドン引きだからな?
「どうせ、男ってこういうの見て、下半身ギンギンにしてるんでしょう?」
……それは女性の誤った考えだな。
なんでも出せばいいってわけじゃないんだよ。過激なプレイしとけば男は喜ぶと思ってんだろ。言っておく。それは間違いだ。
「あのさ」
「私には分かる。貴方は今、感じている」
「なに言ってんのこの人……」
まさか女にこんなドン引きプレイされる日がくると思ってなかったよ……。
てか、目がきらっきらに光り輝いているのがね、なんとも言えません。
「本当、最低ねっ! 貴方、こんなの見て教室で勃ってるんでしょう?」
「いや全く……」
「きもっ。本当、ボッチで根暗で変態とか救いようがない。二回言うわ。救いようがない」
「はいそうですか」
なんつーかもう、コイツと関わりたくない……。
コイツ、ちょっと……いや。
相当、変わってるよね?
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