胸に秘めた想い【香澄編 プロローグ】
赤裸々な気持ち
[時計の針が一秒ずつ時の流れを刻むように、私の罪は一方通行の道を進むかのように、一歩ずつ足並みをそろえて歩く。喜びに胸を弾ませている・怒りの中に寂しさを見ている・哀しみに浸り心を痛めている・楽しさを共に分かち合う日々――そんな時間を振り返ることもあるが、それでも私は時の流れに逆らうことは出来ない。
もしあなたたちと出会うことがなければ、私はただの平凡な人生を歩む女になっていただろう。時々周りの人たちを巻き込んで困らせてしまう日々もあったけれど、それでもあなたは私にないものを持っている。自分の信念を曲げず夢をかなえるその強さは、私にとって憧れの存在でもあるの。
もしあなたたちと出会うことがなければ、私は狭い世界で生きるつまらない女になっていただろう。普段はあまり言葉にはしないけれど、私たちを深い愛情で包み込んでくれていることを私は知っている。本当の愛情と優しさを持つその心の強さは、私にとって尊敬に値する目標だわ。
もしあなたたちと出会うことがなければ、私は時の流れに翻弄されるだけの普通の女になっていただろう。時々喧嘩もしてしまったけれど、私の胸の中ではそれもすべて楽しかった想い出として生きている。命の重さを教えてくれたその温もりは、私にとって生涯忘れることが出来ない宝物……だったわ。
その一方で心の奥底には、真っ白で霧に包まれた世界の中で一人ボートにゆられながら景色を眺めている、ある決意を胸に秘めた私の姿がある。ボートの行き先は分からないけれど、その先にはきっと私が一番望んでいる答えが待っている……そんな気がするの。
『時の万華鏡』が導くその世界に待っているのは、天使の温もりなの? それとも悪魔のささやきなの? その答えを確かめるために、今日も私は歩き続けている。
最初は軽い気持ちで始めた習慣だけど、こうして振り返ってみると色んなことが見えてくるの。私の胸はあなたたちの優しさと温もりで満たされており、そのおかげでとても充実した人生を過ごすことが出来た。……言葉では言い尽くせないほど、あなたたちには本当に感謝しています。
だけどこの場では、お礼の言葉やお別れの言葉は言いません。だってここで“ありがとう”とか“さようなら”と言ってしまうと、そこで私の旅も終わってしまう……そんな気がするから……]
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます