8-3
「先輩、私、山中キャプテンのことで、有力な情報を耳にしたんです」
「有力な情報?」私は身を乗り出した。
「そうなんです。その情報源というのは、うちの近所のおばさんなんですけど、事件の起こったと思われる日に、スーパーに買い物に行く途中、国道のあたりで自転車に乗ったそれらしき女子高生を見たんですって。その女子高生の服装が、ニュースでいっていた失踪時の服装にそっくりで、どうして覚えているかというと、自転車同士でぶつかりそうになったらしいんです」
「マジで? ってか、幸希はあの週刊誌の記者に何もいわなかったじゃない?」
「だって実際に私がこの目で見たわけでもないし、近所のおばさんのこと教えたら、ひょっとして迷惑がかかるといけないと思っていいませんでした」
幸希は申しわけなさそうな顔で私を見る。
「そのおばさんって、そのことを警察に話さないのかなァ。だって事件解決の糸口になるじゃん」
「私もそうですけど、誰でもみんな自分のことじゃないから、深く関わりたくないんじゃないでしょうか」
「そうだよね。でもそのおばさん、ぶつかりそうになってそのまま買い物に行っちゃたのかなァ。腹が立って振り返ったとか、気になって後ろを見たとか……」
「いや、それはないみたいですよ。おかあさんがそういってました。それより一度おばさんがぶつかりそうになった現場に行ってみようと思うんですが、先輩一緒に行きません?」
「いいよ、行こうよ。ひょっとして何か手がかりがあるかも知れないもんね。何か私たち女子高生探偵みたい。そう思わない、幸希」
「なに暢気なこといってるんですか。ひとがひとりいなくなってるんですよ」
「ごめん、ごめん」
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