最終回 繋がりし二刀
ー三年後ー
お兄ちゃんがあの日に亡くなってから早三年が経過した。私は街の人々から援助を受けながら生活し、もう17歳になった。今日はお兄ちゃんの三回忌でお墓参りに来ていたところだった。
「……先に来ていたのか。」
聞き覚えのある声で後ろを向くと、酒王さんと酒殿さんが花束を持って立っていた。
「酒王さん、酒殿さん。来てくれたんですね。」
酒王さんと酒殿さんは私が一人になった後に良く会いに来てくれるようになった。私が寂しくならないようにとのことらしい。
「あの日…もう少しでも早く俺達が助けに行っていたら、こんなことには…」
「酒王さん達は何も悪くありません…私も玉に思い出すんです。あの時、お兄ちゃんを止められてたら…って。」
「…やっぱりお前達はお互いに助け合っていた仲の良い兄妹だったんだな。」
「はい…私にとって唯一の肉親でしたから。私も妹として兄を守ってあげたかったんです…」
酒王さんは持っていた花束をお兄ちゃんの墓の前に置いて合掌一礼をした。
ー街ー
お兄ちゃんが営業していた妖怪退治屋も私がそのまま受け継いで、今でも街で営業を続けている。
「すみません…」
「はい、何でしょう?」
「妖怪退治の依頼を頼みたいのですが…」
依頼をしてきたのは女性の人で、聞くところによると、最近夜になると物凄い光を出している者がいて眠れないとのことだ。
「依頼、承りました。これから調査に向かいます。」
「ありがとうございます!」
依頼人が一時去った後、机の上に「依頼遂行中」と書かれた札を出して、妖怪がいると思われる村へと向かおうとした。
『今回の依頼、久々に腕がなるわね。』
「そうだね、玲子ちゃん。」
心の中にいる玲子ちゃんも私の支えになってくれている…私は一人じゃない。それに…
カチャ…
左腰に差した二刀の刀、蝶月輪と猛華刀を差している。こうしていると側にお兄ちゃんがいるような気がして安心するから…
「見てて…お兄ちゃん。」
猛華刀を少し触り、小声でそう呟くと、私は依頼のあった村へと向かった。
終わり。
ーマーセル邸ー
「異世界…ってご存じですか?セリド様。」
「あれでしょ、何か魔法とかどうのが使えるみたいな。」
「ざっくり言うとそんな感じですが…実は、次に私達が行く世界はその異世界と現実世界が融合された世界のようですよ。」
「世界世界って何かややこしいけど…何だか次の世界、楽しそうだね。で、会うべき人物は誰なの?」
「会うべき人物は『マリア・カタストロフ』という竜人の少女です。」
「竜人の…少女…!?」
Coming Soon…
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