第15話 やっちゃった

 私は自宅マンションに帰ると、すぐにマネージャーのミカさんに電話をかけた。


「あ、ミカさん。おはよう。昨日はお疲れ様でした。あの、、、私、かなり酔ってたでしょ?」


「あ、ああ。うん。そ、そうねえ。

ごめん、ゆりちゃん、後で掛け直すね。」


その言葉の後に男性の声が聞こえた。


「朝?何時だ?」


プツ、、、、。



どうやらミカさんはイケメン部長を無事お持ち帰りしたらしい。


私は小さくため息をついてアツヤ君の携帯に電話をかけることにした。


アツヤ君は私より5歳年上の幼なじみで、私が先ほどまでいたホテルのフロントマンとして働いている。


「あ、おはよう、あっくん。今、仕事じゃないわよね?」


「ああ、おはよう、ゆりかちゃん。

うん、仕事終わって家帰ってきたとこ。」


「あのさ、昨日私、すごく酔ってたでしょ?」


「うん、すごくすごく酔ってた。」


「何かおかしなことしてなかった?」


「、、、してたかもな。」


「え!?マジで!?

ごめん、私、どんなだったの?」


「、、、俺が見たのは、一緒にいた60代位の男性の頭を何度も撫でまわしたり、、、あと、、、頭にキスしてた、、、。」


私は頭が真っ白になった。

あっくんは話を続けた。


「それで、、、ちょっと、、、すごい発言してたかな、、、。」


私は恐る恐る聞いた。


「、、、なんて?」


「『結婚を前提に私の執事になりなさい。』って、、、。」


えええええええええええええええええ!!!



私は目の前が真っ暗になり、その場に倒れそうになったのだった。



それでもこれだけは教えておいた。


「彼は60代じゃなくて50歳ちょうどだよ。」、、、、と。

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