第12話 ムギュッ

 YURIKAちゃんが『ムギュッ』なんて言うから僕の頭の中は、まさにお花畑状態で胸はドキドキと高鳴っていた。


それでもしっかりとタクシー料金を払い、YURIKAちゃんを支えながらホテルの中へと入る。


YURIKAちゃんは身長が170cmあるはずだ。

そして彼女は今日、ハイヒールを履いているから僕との身長差はかなりのものだ。


今、僕は彼女の背中を支えているが、気を付けないとお尻を触ってるなんてこともあり得る。


我、しっかりせよ!!


僕はYURIKAちゃんをロビーのソファーに座らせるとフロントに手続きをしに行った。


すると、、、。


「いつも宮木原がお世話になっております。

亀乃蔵様でございますね。

只今、お部屋の方にご案内させて頂きます。」


そのフロントマンの言葉に僕は疑問を抱いた。


「宮木原がお世話になってます?」


色んな意味で酔っている頭で考えていると、背中に衝撃が走った。

その瞬間、細くて白い腕が絡まりつくように僕の肩を抱いた。


YURIKAちゃん!?


YURIKAちゃんが僕を『ムギュッ』してる!!


そして彼女はフロントマンに向かって言った。


「案内とかいらないからー。いいとこなんだから、そっとしといてねー。」


いいとこ!?


僕はいよいよ鼻血が出るんじゃないかとドキドキしていたが、YURIKAちゃんは耳まで真っ赤な僕の手を引いてエレベーターに乗り込んだのだった。


僕は、僕は、どうしたらいいんだー!?


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