第5話 挙動不審な彼

 「はーい、ゆりちゃん、いいねぇ!

食べた後、唇舐めてみようか?

おっ、いいねー!!」


只今、リハーサル真っ最中。

もちろん、セリフも頭に叩きこんできた!!

  

私は溢れんばかりの笑顔で言う。


「今日もユリカはツルリとキレイ?」



「はいっ!!オッケーッ!!

本番もこの調子でヨロシクーッ!!」


監督のオッケーをもらい、心の中でガッツポーズをする百合華。


「休憩入りまーす。」


スタッフさんの一声で、みな一旦、肩の力を抜く。


ふと前方を見ると、先ほど打ち合わせで挨拶したカメクラ食品の社長さんが顔を真っ赤にしている。


熱でもあるのだろうか。

そして、なぜか内股気味で落ち着かない様子なのである。


私は社長さんから目が離せないでいた。


なんか、、、ゼンマイ仕掛けのおもちゃみたいな動きなのだ。


その隣には広報部長さんが姿勢よく立っている。

こちらは堂々たるオーラを放っている。

おまけにモデルか俳優にでもなれそうな風貌だ。


私の隣にいる、マネージャーのミカさんを見る。

やはり、、、。

おめめがハートだ。


ミカさんはイケメンに弱いのだ。




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