第4話 念願のオファー

 僕は舞い上がっていた。


気を抜けば浮き足立って空に向かって飛んでいきそうになる。


いかん、いかん!!


落ち着くんだ自分。


僕は気を引き締める。


これまで新しい商品が開発され、CMの話になる度に声を大にして「YURIKAちゃんにオファーを!!」と叫びたかった。


しかし、それは公私混同というものだろう。

ましてや、社長である僕がそんなことを言い出したら『独裁運営』である。


そんな訳で、商品開発のアイデアからCMオファーに至るまで、ある程度を社員の自由な発想に任せてきた。


今回、新商品『TURURI』を発案した美意識高い女性社員が、CMには人気モデ『YURIKA』ちゃんを起用したいと言った時、僕は喜びのあまり彼女に土下座して感謝の意を表明したくなったものだ。


いかん、いかん。

暴走するな、自分よ。


いよいよ明日、CM撮影。

僕は『ツルリ』とした頭を輝かせながら、社長室へ続く廊下を歩くのだった。

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