第110話 大好きなんか大っ嫌ぃ!



「なんで!なんで効かんの。。。?

 今が一番必要な時やのに、なんで奇跡は起こってくれへんの!!!!!こんなのあんまりや、酷過ぎる。。。みこちゃん!みこちゃん!!!」




 眼鏡っ娘お姉さんの魔法に抱き寄せられたみこは、お姉さんの柔らかなお胸の中に着地した。。。さっきからみこに回復魔法を掛けようとしてるの耳元でウルサイお姉さんは、泣いている。




「。。。雪乃?何、してるの?この娘は貴女を殺そうとした怪人、でしょ?」


「。。。桃、この娘は怪人なんかゃ無ぃょ。。。?桃はこのネックレス、見覚ぇぁるはずゃろ。。。?」


「。。。!?嘘よ!そんなはず無いわ!!!

 だってソレは、私があの子の為に特別に!今だってホラ、ちゃんと私のポッケの中に、中に。。。。。」


「桃。。。」


「違ぅ、違ぅわ!だって。。。雪乃はその娘に殺されそうで。。。。。だから私は、あんな強烈な魔法を。。。迷いもしないで」




 お姉ちゃんは青いお顔をしながら、震える手でソッとみこのヒビ割れた白いお面を外す。フフフ、お姉ちゃんがとっても驚いててちょっと楽しぃ。。。




「!!!!!!どうして!?。。。だって、昨日までみぃちゃんは普通の」


「昨日ゃ無ぃょ。。。」


「。。。雪乃、さっきから何言ってるの?お願ぃ。冗談だって、悪い夢だって言って!!!」




 みこのお面を外しお顔を見て、ペタンて座り込んだお姉ちゃんが撫で撫でしてくれた♪眼にはぃっぱぃ涙を浮かべて、違ぅって否定しながらも少し撫で撫でして、確かめるみたいにほっぺにも優しく触ってくれた♪


 もぉ!お姉ちゃん?

 みこはこれくらいの撫で撫でヨシヨシじゃ、全然許してあげなぃんだからね!もっともっとも〜っとぃっぱぃみこに優しくしてくれなぃと、ダメなんだから。。。




「。。。桃、ウチが知ってるこれまでの記憶を桃にあげる。せやから、少しでもたくさんみこちゃんに優しくしてあげてな?」




 お姉さんは、お姉ちゃんのおデコに触れて魔法を使う。みこはお姉ちゃんにられたく無い事がたくさんあるから、阻害レジストしたかったけどダメだった。力、入んなぃゃ。。。




「一年?そんな。。。私は、私はみぃちゃんが平和に安心して幸せに笑って暮らせる世界の為に闘ったのに。。。なのに私の所為で、私がみぃちゃんをこんな。。。」


「。。。ぉ、姉。。。ちゃん。。?」


「みぃちゃん!!!ごめんね、ごめんね?お姉ちゃんが、お姉ちゃんの。。。。。みぃちゃん。。。ごめん」




 お姉ちゃんも泣いている。

 泣きながらみこをギュッて、ギュゥゥゥゥゥゥ♪ってしながら、ありったけの回復魔法を掛けながら、泣いている。。。



(お姉ちゃん、そんなにギュッてしたら苦しぃょ?♪)



 みこの見つめる世界は少しずつ暗い闇に包まれて、みこはもぅ声も上手く出せないし、抱き締めてくれるお姉ちゃんをギュッ♡って抱き締め返すことも出来なぃ。。。

 だけどね、冷たくて重たい黒い闇にみこの身体が飲まれ始めても、みこは全然怖く寒くなんか無ぃんだょ?


 だってね♪大好きなみこのお姉ちゃんがスっごくスゴ〜く時間かかったけど、帰って来てくれた♡それに、眼鏡でいい匂いなちょっぴりウザいお姉さんもみこを抱っこしてくれている。。。



「。。。みこと、ぉ姉ちゃん?」



 あぁ。。。それからお姉ちゃんは知らないだろうけど、小さくて可愛いちょっぴり面倒な妹だってみこには出来たんだよ?

 みこがあの時抱かせてあげた、お下がりの猫さん人形を不安そうに抱っこしてるあの子にはほとんど記憶なんか残って無いだろうけど、それでも私をお姉ちゃんと呼ぶ可愛い生意気な妹が。。。。。



 いい匂いなお姉さんのお胸の中に抱っこされて、大好きなお姉ちゃんに抱き締められて、温かい妹の可愛いお手々に手を握られる。



 みこは多分ずっと、こぅなりたかったんだと思ぅ。たくさんの怪人ムシ魔法少女ゴキブリ人間生ゴミをブチ殺しながら、本当は誰かにみこを叱って殺して欲しかったんだと思う。。。ぅぅん、誰かじゃ無ぃ。


 大好きな最強で最嬌の私のぉ姉ちゃんに、みこは殺して止めて欲しかったんだと思ぅ。


 だって。。。今のみこは、全然苦しく寂しくなんか無ぃ、から。。。。。




「みんな。。。大、好き。。だ。ょ。。。。。」


「みこちゃん!?」

「お姉ちゃん!」




 ダークネス。

 そう呼ばれた最狂最悪の怪人は、奇跡の復活を果たした最強最煌の魔法少女クリムゾン・ピーチによって倒された。




「。。。イヤ、イヤょ。みぃちゃん?みぃちゃん!!!。。。イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」




 しかしその魔法少女史上、最も凶悪で惨忍であった魔法少女怪人の散り際が、これほど呆気の無いワンパン静かで穏やかなものであったという真実を知る者は数少ない。




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