第64話 見えない怪我なんか大っ嫌ぃ!




(。。。死ねばぃぃのにもぅ、ャダょ



 黒く色褪せた淋しいスゴく見辛くなった鬱陶しい世界。

 遠くアッチの方では黒くて大きな火柱なにかが上がり、それに巻き込まれた沢山の怪人さん達生ゴミ達慌て燃えている。。。



「あらあら♪お帰りなさい拳鬼ちゃん。

 プフッ♪大口叩いて勇んで出て行ったくせにずいぶんと速いお帰りだこと♪

 どうしたの?お腹でも壊したのかしらん♪♪♪ウフフフフ♪」


「チッ。。。ウルセェ。

 ただの気紛れに一撃受けてやっただけだ!」


「ホッホッホ♪じゃから言うたであろうて♪♪♪小娘と舐めてかかれば痛い目を見ると腹を壊すと。もっとも、壊されたのは顎の方じゃったようだがの。ホッホッホ♪」


死ねばいいのに。。。どぅして、死ななかったの?




 痛かった。。。

 ビキビキと、あの鬼っぽい怪人卑怯な粗大ゴミに思い切りお腹パンチをした右手が痛かった。

 ジュウジュウと、その後思い切りお顔を蹴り飛ばしてあげた右足も痛かった。


 障壁を纏い忘れたまま本当に許せなくて思い切り鬼怪人粗大ゴミをブッ飛ばした右足は、怪人が出した黒い汚い炎にやかれて火傷した。


 右手は火傷はして無いんだけど、多分骨が砕けたのかな?

 ズキンズキンと変な方向に折れ曲がった上手く動かない右手の姉妹指薬指と小指が、スゴく濃い色になってしまっていて気持ち悪い。



「。。。いい気味」



 自然ポロッとと出て来たこの言葉、みこは別にブッ飛ばしたあの鬼怪人ムカつく粗大ゴミに言ったんじゃないんだよ?

 不様に傷んだ自分の無様手足を見て、普通にそう思っただけのただの感想独り言


 だって。。。。。お姉ちゃんの邪魔ばかりする足手まとい悪い妹には、スゴくお似合いな姿でしょ。。。?

 お姉ちゃんの足を引っ張ってに迷惑かけてばっかりなみこなんて、もっともっとボロボロに傷付いて当然でしょ!!!?


 こんな少しのり傷。。。

 みこがお姉ちゃんに掛け続けた迷惑みこが怪我させたお姉ちゃんの傷に比べたら全然痛くないもん!!!

 こんなの!机の角に足の小指をぶつけたみたいな、そんな程度の怪我だもん!!!!!


 。。。。。だって、ジュウジュウて焼けた足よりも。。。ボキボキに折れた指よりも。。。

 回復魔法を織り混ぜた最硬で最厚レベルな障絶対安全領域壁の中で横たわる、火傷だらけのお姉ちゃんを見て、ギュッ!ってなるお胸の方がずっと痛いんだもん!!!


 怪我なんかしてないはずのこのお胸が。。。お姉ちゃんごめんなさい、ごめんなさいって思う度に、ズキンズキンて感じるこのお胸の方が何倍も、ぅぅん。何百倍も痛いんだもん。。。。。



 結局、みこがどれだけ強くなったと思っても。。。みこがお姉ちゃんにしてあげられるのは、お邪魔虫殺すことだけ。

 あの時から何にも変わってなんかいなかった。

 。。。ねぇ、どうしていつもお姉ちゃんなの?どうしていつも、みこのせいなの?

 どうしていつも。。。みこは、置いてけぼりお留守番なの?


 。。。もぅヤダょ、痛ぃょ、苦しぃょみこなんか辛ぃょ、お姉ちゃん死んじゃえばいい。。。。。



 ジジジ、ジジジとノイズが掛かったような黒と灰色だけの世界。ウルサイのに静かで、暑いのに寒いおかしな世界。


 お姉ちゃん、お姉ちゃん。。。

 怖くて寂しくて、ちゃんとごめんなさいが言いたくて。お姉ちゃんをまた起こしてるんだけど、全然起きてくれないの。



「チッ!黙っ、見、ろ次、そあのを」



 ジジジジジ、こんなノイズだらけの中でもハッキリと聞こえてきた鬼っぽい怪人さん腐りきった生ゴミのソノ言葉。



「。。。ねぇ、粗大生ゴミ野郎鬼っぽい怪人さん?さっきから雑魚雑魚雑魚って、


 イッタイノコト、言ッテルノ?」



 沸き上がる意が止められない、りが、しみが、抑えられない。

 お姉ちゃんの側から離れたくないのに、お姉ちゃんのお手手を手放したくないのに。。。



『アハハハハ♪おトイレでも我慢してるのかい一体何を我慢してるんだい?命っち♪

 気に入らないのなら、皆纏めてブチ殺せばいいじゃないか♪今までもこれからも、キミは心のままにただ殺せばいいんだよ♪』



 違ぅもん、ヤダもん。。。みこは、みこはね。。。殺せ殺せ殺せ、みこの中で知らない声がそう言うの。みこはただお姉ちゃんと、お姉ちゃんと。。。お姉ちゃんと?



『だってキミは、大事な大事なお姉ちゃん桃っちを殺したじゃないか♪♪♪』


「ウルサイ!!!!!」



 ウルサイウルサイウルサイウルサイ!!!

 皆静かにしてよ!みこは、みこはね?みこは。。。



『アッハハハハハハハハハハハハ♪♪♪』


 。。。。。フフフ。

 こんなにお願いしても静かにしてくれないんだね。。。

 良いわ♪だったら全員、ブチ殺してアゲル🖤お姉ちゃん、助けて。。。。。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る