第56話 呼び出しなんか大っ嫌ぃ!




「フフフフ、フフフフフフフフ。。。」


「みぃちゃん!!!」



 あの後。無様な猫耳のお姉さんババアが見えなくなっても、一人で真っ赤に染まった廻廊に立ち尽くして居たみこは、後ろから走って来た誰かに捕まった。

 みこの事をギュッ!って強く抱き締める拘束した誰かからは、知ってるけど知らない良い匂いが漂って来て。。。みこはまた意識を刈り取られるみたいに、スゴく心地良い眠りへと落ちていく。


 みこを優しく包み込んでくれる、この甘くてスゴく良い匂い。これは、誰の匂い。。。だったっけ?




 ************




「ん?。。。お姉、ちゃん?」



 次にみこが目を覚ますと、そこはいつものベットの上。みこと一緒に添い寝をしてくれている、お姉ちゃんのお胸の中だった♪


 みこはね♪スゴく幸せな気分♡で目が覚めたんだけど。。。

 今日のお姉ちゃんは、何だかいつもと様子が違っている。いつもならみこが目を覚ますと、おはようのキスをおデコにしてくれて♡優しくナデナデ♪をしてくれるはずなのに。お姉ちゃんは、みこをお胸にギュッと抱き締めたまま離してくれない。




「お姉ちゃん?どうしたの?」


「。。。」


「お姉ちゃん。。。?怒ってるの?」


「。。。」


「お姉、ちゃん?」


「。。。」




 お姉ちゃんは何も答えてはくれない。

 ただ黙ってみこをお胸にギュッとしたまま、ゆっくりと首を横に振るだけ。。。そのまま続く沈黙に耐えられなくなったみこは、お姉ちゃんのお顔を見ようとモソモソしてみたんだけど、結局お胸から顔を上げることは出来なかった。



「。。。お姉ちゃん、ごめんね?」



 そしてもう少しだけ時間が経って、どうして謝ったのか自分でも良く分かんない。。。でも何となく。少しだけ感じるお姉ちゃんの震えが、泣いてるみたいに思えて。。。

 みこは悪い事した記憶は全然無かったんだけど、『ごめんなさい』って気持ちで胸がいっぱいになっていた。




「ぅ。。。みぃ、ちゃん?」


「なぁに?お姉ちゃん?」


「もぅ、一人で危ない事、しないで。。。?」


「。。。?」


「みぃちゃんに何かあったらまで居なくなったら、お姉ちゃんは。。。お姉ちゃんは。。。うぅ」


「。。。ごめん、なさい」




 みこにはお姉ちゃんが何を心配しているのかが危ない事?の意味がよく、分かんない。みこ、何か怪我する様な事したかな???

 だけどね♪ずっとみこをギュッ!って離さないお姉ちゃんが、みこの事をスッゴく心配してくれてるのは分かった♪

 そして、スッゴく大切にしてくれてるのも伝わった♪



 きっとお姉ちゃんは、みこがお部屋に居なくてビックリしたんだね♪そしてそれが不安で、寂しくなって。。。もぉ~♪しょうがないなぁ、お姉ちゃんは♪

 でもみこはね、そんな心配症で寂しがり屋さんなお姉ちゃんも大好きだよ?♡



 みこもお姉ちゃんの事ムギュ〜♡ってして、スッゴくラブラブないい雰囲気だったのに。。。



(コン。。。コン)

「し、失礼します。。。か、神夜様、みみみ、御子様。我等が母、朔夜様がお呼び、です。。。」



 おっかなビックリ控え目に震えながら入って来たお邪魔虫歩く生ゴミがそんなみこ達の邪魔をした。

 取り敢えず、叩き潰そうか?とも思ったけど。

 そうしなかったのは、お姉ちゃんのお胸にムギュ〜♡ってするのが忙しかっただけ。



「分かりました。直ぐに参ります」


「。。。」


「ヒッ!!!!!!!」



 でも結局。。。コイツの所為でお姉ちゃんとの幸せな時間ラブラブタイムが終わったから、お前は後でしっかり叩き潰してあげるね?♪




 ***********




 漸くお胸から解放してくれたお姉ちゃんのお顔は、お目々が少し赤かったけどいつも通りに優しくて、綺麗で♪そんな大好きなお姉ちゃんとお手々を繋いで歩く廻廊も、真っ赤でとても綺麗だった。



「みぃちゃん?朔夜様ママには、さっき教えた通りに答えるのよ?いい?」



 お姉ちゃんは廻廊の真っ赤な部分を避けながら、みこの手を引いて行く。教えられた受け答えが、どうして必要なのかは分からなかったけど。。。みこは良い子だから、ちゃんと言われた通りに出来るよ♪


 でもね?みこは一つだけ、どうしても聴いておきたいことがあるんだ。。。




「ねぇ、お姉ちゃん♪」


「なぁに?みぃちゃん」


お姉ちゃんはママのこと、好き?ママのこと、殺してもいい?




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る