第31話 罠に嵌るのなんか大っ嫌ぃ!




「キャーーーー!誰か、誰か来てーーーー!!!」


「ヒャハハハハハ♪もう逃がさねぇよお嬢、ブチャラ!!!」




 真夜中。急に鳴り出したスマホ魔法協会からの呼出に叩き起こされて、眠さにイライラしながらも魔法の杖クリムゾンソード怪人を輪切りに生ゴミを処分した私は、この近くで苦戦してるとかいう別の魔法少女ゴキブリ達の応援に駆り出されていた。


 弱過ぎるバカじゃないの?。。。


 お家に寝かせて置いて来たあの雑魚チビ独りならまだしも、集団戦闘を得意数の暴力を正義とする魔法少女ゴキブリどもが、この程度のゴミ掃除にどうして応援そんなに弱いなんてあるの。。。?なんか。。。そんな違和感を感じる程に、呆気ないお仕事命令




「あ、ありがとうございました♪あ、あの!もしかして、最近序列20位ナンバーズになった。

 三白眼の小桃ちゃんクリムゾン・プラムちゃんじゃないですか?」


「。。。だったら、何?」


「わ、私ファンなんです!良かったら握手して下さい♪」


「。。。チッ」




 ハ?何言ってるんだろう?コイツ。

 私のファンだとか言い出したお姉さんショトカは、ニコニコとコッチへ近寄って間合いを詰めて来る。さっきまで腰抜かしヘタレてた癖に、これだから人を助けるゴミを拾うのは嫌い。


「みこちゃん?ファンサービスちょっとだけ愛想よくするんも、立派なウチらのおなんよ?♪」


 そう言えば。。。あのお姉さんメガネが、そんな事も言ってた様な気もする。

 私はあの時お姉さんメガネ狸がした様に、笑顔で右手を差し出し薄ら笑いでお姉さんに杖を向けながらこう言う。




応援ありがとうございます何バカなこと言ってんの?これからも、よろしくお願いしお姉さん、死にたいの?ます♪」



 その瞬間、空気が変わったのは肌で分かった。



「。。。え?だから私、あなたのファンで」


「フフ♪ねぇお姉さん?

 お姉さんて、バカじゃないの???超ーウケる。ハハハ♪」


「え?ど、どうしたの。。。?急に?」



 私が感じていた違和感イライラしていた理由

 ソレは、魔法少女の無能さ怪人の雑魚さだけでは無かった。



「ハハハ♪。。。ねぇ、お姉さん。お姉さんて、魔法少女同業者でしょ?」


「な、何を言ってるのプラムちゃん?私はただの一般」



 僅かに感じる魔法の気配、系統的には私の魔法やあの紫色の魔法少女耳障りなコバエのインビジ。。。何とか遮音魔法と同じ。掛けた対象の魔力を隠す、そんなタイプの魔法。



「コラみーちゃん!ダメでしょ?みこちゃん?あかんよ?」



 お姉さんお姉ちゃん達、ちょっと静かにしてて。。。これくらいじゃ、魔法少女ゴキブリは死なないでしょ?

 もう面倒になった私は、目の前の怪しいお姉さん一般人(仮)を斬りつけてみる。



「チッ」


「へぇ〜、20位最下位にしては結構ヤルじゃない♪」



 思った通りお姉さんゴキブリの首が落ちる事は無く、代わりに私の背後からはかなりの威力私を殺すつもり魔法の矢炎の矢が飛んで来た。

 多分私のを躱したお姉さんショトカは、ワザと魔力を漏らしていたデコイ。

 本命は、炎の矢を放つまでまったく気配を感じなかったあのお姉さん三つ編みの方。。。




「ねぇ?この娘本当に20位最下位?普通あんなタイミングで矢撃たれたら、絶対当たるはずなんだけど?」


「さぁ?ねぇ、おチビさんプラムちゃん?一応訊くけど、投降降参する気はあるかしら?」


「は?。。。仕掛けて来たのは、ソッチ。。。でしょ?」


「ハァ〜。。。序列17位お姉さんとしては、首輪に繋がれた具合の悪そうな猫ちゃんをベシベシ虐めるのはちょっと気分が乗らないんだよね〜♪」


「ハイハイ。そういうのは、ちょっとは嫌そうな顔してから言いなさい!

 ね?プラムちゃん、何したかは知らないけど。私達は、抵抗するなら貴女を。そういう命令を受けて来てるの。。。だから、大人しく杖を降ろしてくれないかしら?」




 命令。。。?

 あぁ、そういうこと。つまりは今夜の協会からの電話、あれも私を釣る為のだったわけね。どうりで、



「ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?。。。。。。。。。。。。。。



 ウル。。。サイ!ウルサイウルサイウルサイウルサイウルサイウルサイ!!!



 ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?ダメだよ?アカンよ?。。。悪い娘」


「!!!。。。どうして?どうしてお姉ちゃん達は、みこを虐めるの。。。?みこ、何にも悪い事してないょ?。。。悪い娘じゃないのに、いい子にしてるのに。。。。。。。なんで?」




 いつもそう。私の中のお姉ちゃん達は、私のことをダメな娘、悪い娘って言って叱る。。。



(バシーン!)



「ちょっと17位アンタ!泣いてる娘にいきなり攻撃しなくてもムチを振るなんて。。。」


「ウワ!さっき後ろから矢で撃った鬼畜16位にだけは、言われたくないわ〜!

 だいたいさ〜、あんなビンビンに殺気出しながら泣く娘なんて居るわけない♪

 私こんな夜中に面倒くさ、って思ってたけど。ちょっとだけ楽しくなっ濡れてて来ちゃった♡」


「まったく。。。嫌な仕事。。。」




 悪いのは、私の前をチョロチョロとする目障りで鬱陶しいコイツらの方なのに。。。私は、悪くない!!!!!!






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