第32話 時間稼ぎなんか大っ嫌ぃ!



「みこちゃん、もうヤメテ!そうだよ命、そんなことしちゃダメ!」



 私の中のお姉ちゃん達は、私に掛けられた呪いは全然静かにしてくれない今も私を苦しめている。。。人間への殺意に反応するこの魔法呪いは、この胸に懐く想い殺意が強ければ強いほど私への苦痛お仕置きも強くなる。単純だけど、絶大意地悪な。。。そんな呪い魔法




「アハハ♪どうしたの?随分辛そうね?

 そんな攻撃じゃ、私のお股をグチャグチャには出来ないわよ?♪」


「チッ!」


「本当、相変わらず貴女って闘い方がね。。。」


「は?なアンタには言われたくないんだけど?」


「な!私のコレは姑息じゃ無くて、って言うの!」


「あ、そうですかー!ほら、あまりよそ見すると懐に入られちゃうよ?」


「余計なお世話!貴女の方こそ、近付き過ぎよ!有り難く思いなさい?」


「チッ!」




 すごく殺りにくい。。。

 この二人、仲が悪そうに見えて実はきっと全然そんなことはないツンデレてるだけ

 遠距離からウザい三つ編み弓子を狙えば、中距離のショトカ鞭子が割って入って来る。邪魔な鞭子に狙いを替えると、今度はまた距離を取った弓子がウザい。

 まるで焦れば焦るほどにドツボに嵌る猫じゃらしでじゃらされる猫ちゃんみたいな、そんなジレンマイライラに私は襲われている。




「あれあれ?♪どうしたのかな、子猫プラムちゃん?

 もしかして、何か気掛かりでもあるのかな?お股にパンツでも食い込んだのかな?♪」



 ウルサイ!!!

 私は雑談混じりに寄らず付かず闘うなかなか殺せない先輩魔法少女ショウジョウバエ達を相手にしながら早く殺したくて酷く焦っていたウズウズしていた



「。。。お、ね、ちゃ」



 それは突然私の頭の中に、あのチビの弱々しい雑魚が私を呼ぶ声が聞こえた様な気がしたからでも。まして、あのお子さまチビみたいに、トイレに行きたいからお漏らししそうとか、見たいアニメに遅れそうだからでもなかった。


 バリバリ、ビキビキと誰かがお姉ちゃんに張った防御魔法プロテクトに干渉している気配がする。。。お姉さんメガネの時の漠然とした嫌な感とは違う。ハッキリとした、不吉な感が私にはあった。




「。。。なんで、私のお家を?」


「残念。どうやってかは知らないけど、気付かれたみたいね?。。。そうよ、私達はただの時間稼ぎ。貴女の拘束兼足止め役よ」


「あーぁ、バラしちゃった。てか本当今日のアンタ、優しいヤル気無いのね?もしかして、ロリは嫌い犬派??でも安心してね子猫ちゃん?♪お姉さんは、断然猫派ヤル気マンマンだから♡」


「もう判ってるんでしょ?今の貴女じゃ、勝ち目はない。大人しく投降降参しなさい?」


「イヤイヤ♪私は思い切り、抵抗ニャンニャンしてくれて構わないわよ?♪」


「チッ!!!」




 そういうことね。。。

 この魔法少女ショウジョウバエ達のワザと手を抜いた私をおちょくる様な立ち回りは、本当にただ私を揶揄ってじゃらしていただけ。

 目的が私を此処に釘付けることなのだから、わざわざリスクを負う手数を増やす必要が無かったわけだ。


 今すぐ、帰ら殺さなきゃ。。。


 そう思った瞬間、私の頭は後ろから鈍器で殴られたドンされたみたいな強烈な痛みを感じた。コレはあの緑色の魔法少女達変態カメムシの時と同じ。

 私の身体の自由を奪うくらいの、呪いお仕置き



「猫ちゃん捕まえたぁ♡」


「。。。ごめんね?」


「ッ!!!」



 当然、私が晒した大きな一瞬の隙は見逃されるはずも無く。

 首には、鞭子の雷を帯びたムチが。

 両膝には、弓子の放った炎の矢が突き刺さる。


 痛かった。。。すごくすごく、痛かった。




「お姉ちゃん。。。どうして?どうしてみこにだけ、意地悪するの。。。?」


「どうして?それはアンタが、悪い子猫ちゃん魔法少女だからに決まってるじゃない♪」


「ごめんね。。。お姉ちゃん達も、理由は知らないの。けれどコレは、異端審問官からのだから。。。逆らえば、私達が裁かれる」




 何を勘違いしてるんだろう。。。?私はお前たちをお姉ちゃんなんて呼んでない


 私が痛かったのは、ビリビリと放電しながらギュウギュウ締まる首なんかでも。貫かれた場所が、炎でジュウジュウ焼けている膝なんかでもない。。。


 お姉ちゃん達に叱られた、傷なんか全然有りもしない

 悪いのは、先に手を出して来た魔法少女ゴキブリどもなのに。。。みこは、ちゃんと良い子に我慢してたのに。。。。。。それなのにお姉ちゃん達は、また今日もみこの事を。。。



みこちゃんみーちゃんごめんなごめんね。。。」



 !!?

 ソレは聴こえるはずもない、ただの幻聴違う!私には確かに聴こえた!

 ソレは見えるはずもない、ただの幻覚違う!私には確かに見えた!

 コレは有りえるはずもない、ただの願望本当にお姉ちゃん達が私を心配してくれたんだよ♪



 違う!お姉ちゃん達は悪くないの!!!



 悪いのは全部、みこを虐める魔法少女ゴキブリ達だよ!

 みこを不快に殺したくさせる、人間生ゴミが悪いんだよ!

 お姉ちゃん達は、優し過ぎるから。。。だからね、お姉ちゃん達は全然悪くないの♪♪♪


 みこも、お姉ちゃん達の言う事聴かなくてごめんなさい。。。

 あのね?お姉ちゃん達が、いっつもね殺すのを邪魔する他の人の心配ばかりするからね?

 みこ。。。本当はヤキモチ、妬いてたんだ。


 でももう良いの♪

 お姉ちゃん達が、やっとみこを心配してくれたからみこスっごく嬉しい♪


 待っててねお姉ちゃん♡

 すぐ掃除して、助けに帰るから♪





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