第18話 痛いのなんか大っ嫌ぃ!




「もぅ。。。ダメ、限界。。。ス。。。」



 バリバリ、ビキビキと魔法少女達が引きこもる障壁ゴキブリホイホイの壁は今にも砕けそうだった。

 とっとと諦めれば楽に死ねたのに、案外この紫色コバエはしぶといようで。お姉さん外側魔力障壁が消えてしまってからも、結界魔法を張ったままギリギリの所薄皮一枚で耐えていた。



「ギャァァァァ!!!!!!。。。。。。ウウゥゥゥゥ!!!」



 私はそんな無駄な足掻きを尻目にゆっくり近寄ると、紫色達私の獲物供にちょっかいをかけている黒い影の横っ面に、思い切り飛び蹴りをブチかましてやった。

 バキバキと骨とか牙とかが折れる感触が足に響き、久しぶりに感じた生き物の壊れる音で自然とテンションが上がる♪


 まるで悲鳴みたいなうめき声をあげた黒い影は、私の一撃から逃げる様に飛び退くと、低い唸り声を響かせながら涎を垂らして此方を見ている。

 遠目から見てもかなりバッチィ。。。良かった、あれが足に着かなくて。


 お姉さん変態メガネが無理やり伝えてきたキスした様に、蹴り応えの割にそれほどのダメージは無く見える。

 そもそも全身から立ち上る瘴気が邪魔で、全体がハッキリと黒いモッサリにしか見えないのだけど、蹴った瞬間に見えた顔はライオンとか虎が大きくなったみたいだった。。。どっかの動物園から逃げて来たのかな?



「ロ、ロリッ娘!?」



 後ろから森でばったりクマさんにでも出会ったような間抜けな上擦った声がした。でも私は、ここに来てから全然特別なことなんてキス。。。していない。

 お姉さんお節介眼鏡に教わった通り、ただ魔力で身体強化をしてケガしないよう足に強めの障壁を重ね纏ったまま、思い切りアレを蹴飛ばしただけ。


 あぁ!そう言えば、中身パンツが見えちゃうから腰より上の方は蹴っちゃダメだよアカンよ!とか、よくお姉さんメガネが言ってたっけ?


 私は別にパンツクマさんが見えようが、全然気になんかして無かったんだけど。

 私のパンツクマさんを見てあんなに固唾を飲む魔法少女はしゃぐ変態が居るんだったら、流石にちょっと考える。。。

 本当、お姉さん変態メガネ後輩類友なだけはある。。。キモ。



「ガオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」



 次に私は、お姉さんの杖借りた刀で魔獣とか呼ばれるソレに斬りかかってみる。

 ガキン!ガキン!と金属同士がぶつかるみたいな音の通り、体毛が硬すぎて刃が通らない。

 しかも、さっき砕いたはずの牙がもう生えてる?もしかしてこれが、超速再生?とかいうやつかな?でもコイツの速度動き自体は問題無い。

 お姉さんの言ってた変態がキスした通り、この腐ったモズクみたいなヤツが面倒ことは分かった。

 まぁでも一番面倒イヤなのは、このドブみたいに強烈な臭い。。。なんだけどね。


 私は臭いが着くのが嫌だったから、魔獣汚物から少し距離をとる。



「ロリッ娘ーーー!!!!!!」


「チッ!」



 着地の瞬間、鮮度抜群の左ニーソでバランスを崩した私に紫色コバエの悲鳴みたいな大声が飛んで来た。



「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」



 廃れた深夜の公園に響く絶叫。。。

 ソレはあまりの痛さに、泣き叫ぶ声。

 こんな声が出るなんて知らなかった。


 そう言えば私、魔法少女になってお仕事中に怪我したこと、無かった。。。け?





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