第17話 託されるのなんか大っ嫌ぃ!



「みこちゃん!!!!!!」


「先輩!!!」


「チッ!!!」



 私の爆炎魔法は、ギリギリのおしいところでレジストされた。。。

 それとほぼ同時に、直ぐ側でガキン!と大きな音がして。吹き飛んできたお姉さんボロ眼鏡と一緒に、私は朽ちた滑り台の辺りまで10メートル位飛ばされる。



「ガァァァァァ!!!!!!」



 空中で態勢を立て直す私の眼には、さっきまで自分が立っていた場所で暴れもがいている黒い影の姿が写る。。。陥没した地面、そして黒い影を無理矢理に抑えている地面から生えた氷の刺々。


 直ぐに解った。

 私はこのお姉さんメガネに庇われてしまったのだと。。。



「どうして!!?」



 私は責める様に、腕の中のお姉さん傷付いたメガネを問い詰める。

 もちろん私に、庇ってくれてありがとう!なんて気持ちが湧くはずはない。

 訳が解らなかった。



「みこちゃんが、、、危なかった、から。。。」



 違う!私が訊きたいのは、そんな事じゃない!!!

 大体私はずっと、自分の周りに障壁を張っていたんだ。

 なのにわざわざ片手しか無いくせに飛び込んで来て、案の定あの爪を受け切れなくて右脚まで深い傷負って!バカじゃないの?

 あの程度の攻撃、直撃しても大したダメージにはならないって知ってるのに!お姉さんメガネのした事なんて無駄でしかない!!!


 さっきのレジストだってそう!あの足手纏い生ゴミ達が居なければ、そもそもこんな状況にもなってないし。私とお姉さんメガネだけなら逃げ切るのだって余裕だった!。。。なのに、なんで邪魔したの?


 命は。。。みこは、お姉さんの代わりに殺してあげようゴミ捨てしようとしただけなんだょ?お姉さんは、どうしてあんな使えない仲間ゴミなんか大事にするの。。。?


 みこには、解らないょ。。。

 魔法少女は、皆自分の願いの為に闘うんでしょ?なのにどうして、お姉さんは他の人なんかの為にそんなにボロボロになってるの?ねぇどうして?みこには。。。全然、解んないょ。。。。。。




「みこちゃん。。。ごめん、な?

 こんなこと、ほんまはしたないん。。。やけど。お姉さん、には。。。もう時間が無い、から。。。」


「。。。ン」




 私の腕の中のお姉さんは、苦しそうにそう言いながら私の首に弱々しく腕を回し。最後の力を絞って、私に大人のキスをした。。。

 それは出がけにされた奪う為のイヤらしいキスではなく、託す為のすごく優しいキス。

 お姉さんの舌を伝ってなけなしの魔力と、色々な言葉や想いが私の中に次々と流れ込んで来た。嫌悪感はあるけど、不思議とそこまで違和感気持ち悪さは無い。


 短いキスを終えると、お姉さんは優しく微笑みかけて私から解けるみたいに動かなくなった。。。




 。。。。。。ふざけるな。

 ふざけるな、ふざけるな!ふざけるな!!!!!!




 何が、ごめんねだ!何が、後はお願いだ!何が、してるだ!!!


 こんな人前であんなキモいことしておいて、そのくせ自分は勝手に死ぬの?

 ハッ!眼鏡ウザ過ぎるにもほどがあるわ!冗談じゃない!!!

 私は魔法の杖クリムゾン・メイス眼鏡ッ娘お姉さんウザキモ変態メガネ狸の傍に突き立て、回復魔法を付与した三重障壁で囲う。


 ハ?助ける為?

 そんなわけ無いじゃない。全快させて、もっと使い潰利用した後で私がこの手で殺す為よ!

 。。。このお姉さん変態を困らせていいのは、私だけ。このお姉さんメガネをボロボロに使い潰していいのは私だけ!

 この眼鏡は!私のお姉さん所有物なんだよ?他の誰にも渡さない殺させない。。。

 そうだよ。だってお姉さんに迷惑をかけてを殺していいのは、だけなんだから♪



 私はお姉さんメガネの魔法のを握り締め、キスで教わったお姉さんアイシクルの魔法を詠唱する。




「静かなる氷界を統べし女王よ、その蒼き口付けを我が刃に。凍れ凍れ、止まれ止まれ!凍てつく吐息で世界を閉ざせ!

『氷結絶刀・紅(アイシクルブレード・クリムゾン)!!!』」




 フフフフ♪待たせたわね、生ゴミさん達。

 私のお姉さん獲物に手を出したこと、自分で舌を噛み切りたくなる位たっぷりと思い知らせてあげる♪


 さぁ。。。思う存分楽しんで、逝ってね?


 

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