第7話 先輩なんか大っ嫌ぃ!





 私に近付いて来た魔法少女二人。

 わざわざビルの上にそびえる赤白の鉄塔の、一番上ら辺にすわっている私の所にまでやって来たのだから、この人達は偶々通りすがった訳ではない。

 私は一応面倒になることに備えて、気付かれないようソッと魔法の杖に右手を置く。二人の内、訛ってるメガネな方には見覚えはあったのだが、


 私に魔法少女の知り合いなんか、要らない居ない警戒するのは当然だ。


 二週間くらい前。

 私はバンジー達妖精のネットワークを通じて呼びかけのあった、新人魔法少女の研修会に嫌々参加していた。ハッキリ言って研修自体は全く意味の無い無駄な物だったのだけど、



「桃!!?アンタ、今まで何し。。。

 あ!ごめんなさい。魔法少女魔女ッ子違いやったわ。

 友達に後姿が似とったもんで、つい掴んでしもうて。。。ほんまにごめんなさい」



 その時の帰り、急に私の腕を掴んで来たのがこの魔法少女だった。

 後で調べて判ったのだけど、この人はクリムゾン・ピーチの次に強い魔法少女。


 氷碧色の戦乙女サファイア眼鏡ッ娘お姉さんアイシクル、と言う人だった。


 こんなフワフワトロそうなのがお姉ちゃんの次なんだから、魔法少女の強さって見た目では解らないものなんだと思う。

 まぁ何にせよ、二度と会いたく無かった事には変わりない。やっぱり、認識阻害影キャ魔法でもかけとけば良かった。。。




「スミちゃんありがとうな♪ほんまに助かったわ。ウチ一人やったら、まさかこんな高いとこに居るなんて考えもせんかったもん」


「フッフッフ〜♪当然の結果っス!先輩の右腕たる者、魔法少女ロリッ娘の一人や二人見つけられないでどうするって言うっスか!♪」


「ウフフ♪ほんまに頼もしいわぁ〜♪

 さてと、新人ちゃんも見つかったしスミちゃんは今日はもう帰ってええよ」


「な!!!?非道いっス!

 ヤることヤったらポイっスか?先輩は、スミレのだけがだったっスか!?中学生よりピチピチのロリッ娘の方が好みっスか!?」


「そんなわけないやろ?冗談ばっかり言うてもう♪今日はもう遅いし、スミちゃん来週からテストなんはお姉さん知ってるんやからね?

 そやから今日は、、、」




 私は、一体何を見せられているのだろう。。。

 素人の漫才みたいなやりとりを聴きながら、バカバカしくなった私は変に警戒するのを止めた。しばらくして、


「ロリッ娘、これで勝ったと思うなっス!」


 と捨てセリフを吐いて一人は消えてくれたのだが、私をとてもイライラさせる方眼鏡ッ娘お姉さんは、コッチにニコニコと偽善者面をしながら近寄って来る。



「隣座ってもええ?」


「ダメです」


「あらら♪ウチ嫌われてもうてるみたいやね?

 でもお姉さん先輩権限で、どの道座らせて貰うんやけどな♪」



 私はこの人が嫌いだ。。。

 この人だけじゃない、魔法少女偽善者全員が嫌いだ!


 この2カ月の間、勢いが増したのは怪人達が引き起こす事件だけでは無い。

 段々とソレを狩る魔法少女達も、毎日の様にニュースに現れる様になった。しかも、一人や二人ではない。


 大抵の場合テレビに映る魔法少女は2人以上、酷い時は6人vs1体なんてのもあった。



 私は、もっと魔法少女って少ないんだと思っていたんだ。

 だって!私のお姉ちゃんは殆ど毎日、昼も夜も学校にだって行けない位魔法少女しなきゃいけなかったんだよ?

 それなのにコイツらは、何処からともなくワラワラゾロゾロと!まるでゴキブリの様に次々にわいて来た。。。何が、


「魔法少女は危険がいっぱいなので、一人で闘わない様にしましょう」

はそれぞれ住んでる地域に管轄があるので、先輩の魔法少女の言う事をよく聞いて色々教えて貰いましょう」

「学校のある子達は、緊急時以外はそっちをしましょう」


 だ!!!お前達は今まで何をしていた!

 お姉ちゃんが闘っていた時何処にいた!

 何が、



「魔法少女もちゃんと、少女女の子せなあかんよ?♪」



 だ。。。

 私はお姉ちゃん一人に魔法少女を押し付けて、ちゃんと普通に少女青春を送っていた他の魔法少女ゴキブリどもを決して許さないし、認めない!!!

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