真実の断片5

勇人は夢を見ていた。

矢城 勇人がまだ、鈴木 勇人と呼ばれていた頃の夢を…。


勇人は巨乳おっぱいのお姉さんの為に、地球滅亡阻止を手伝う事を快諾した。

その後、アインと握手をした時点の夢の続きのようだ。


握手を解くと同時に勇人は、アインに質問してきた。


「それでアインさん、少し疑問に思ったんだが…。

ちょっと質問しても良いかな?」


「何でしょう勇人様?」


アインはまだ嬉しいのか、ニヤケ顔が続いたまま答えている。

勇人は構わず質問した。


「詳しく聞きたいんだが…。

人に生まれ変わって、俺はどうすれば良いんだ?」


「あっ!!その事ですか?

では説明致しますね。

そうだっ!

その前に私の名前は呼び捨てで構いませんよ。

その方が呼ばれ慣れてますし…。」


神様の執事を自称しているので、いつも呼んでいるのは神様なのだろうか…?

そう、勇人が考えいると…。


「もしくは、友情を込めて「アイみん」。

更に親愛ヲ込めて「らぶりん」「アイアイ」と呼んでもらって構いませんよ。

お好きな方でお願いしますっ!!」


アインはそう言ってぺこりと頭を下げてきたが…。


「で、何が起きるんだ?アイン?」


勇人は何事もなくすんなり聞き流し、当初の話しを催促した。

少し不満顔のアインは、片手で人差し指を上げて説明しだす。


「マイマスターは、ソドムとゴモラの都市の時と同様に、又条件を付けられました。

今度は地球の10人の人間の人生を見て、その人が清く正しい人生を将来に渡って送ると分かったなら、滅ぼすのを止めると…。

そこで私、何とか頑張りまして、まけて貰えないか交渉してみました。」


「お前も値切ったのかよっ!?」


思わずツッコミが声に出てしまう。

それを聞くとアインは、嬉しそうに振り返り自慢しだした。


「ええっ♪!

押せば結構、値切れるもんですね~。

初めて値切り交渉しましたが。

マイマスター最終的に、泣いて「勘弁してくれ…。」と私に懇願してくるまで粘ってみました。」


「神様泣かせたのかよっ!?」


「はい、まあロトのお父さんのように上手く行きませんでしたが…。

3割引はしてもらえましたよ。」


そうアインが言うと、自分の片手で力こぶを作って見せて来た。

褒めて欲しいのだろうが…。

神様を泣かせるのはやりすぎだと、勇人は思った。


『神様もコイツの扱いには困ってんじゃなかろうか…?』


「まあ、良く頑張ったなアイン。

3割引って事は7人か…。」


「そうです。

7人の日本人を真人間へと、育て上げるのですよ。

我々の手で…。

どの方々も放っておけば、未来ではかなりの極悪人になってしまう。

なかなかクセのある方々だそうです。」


「我々が育てる!?だと?」


勇人は聞きなれ無い言葉を耳にして思わず聞き返してしまった。

だが、アインは冷静に答える。


「そうです。ですが勇人様ご安心を。

私にアドバイスをするだけの簡単なお仕事ですよ。

育てると言っても、親や教師という立場では無く。

私がその問題児達の親友となって、その立場から、彼らをサポートし真人間へと導き育て上げます。

勇人様には、その時々で適切なアドバイスを頂きたいのですよ。

人生の経験者として!

私…人生は初めてなモノでして…。

どう行動すべきか分からないのです。」


アインはそう言いながら、もじもじしていた。

初めてという言葉に反応したようだ。

勇人はそれを聞くと安心したが、同時に不安にも駆られてきた。


「友人の立場からか…。

難しいな…。

立場が友人となるとやれる事と、やれない事がかなり出てくるぞ。

だが、やらなきゃ地球滅亡。

ひいては宇宙崩壊だろ。

そしておっぱいのご褒美は無しか。

で、期日はいつまで何だ?

いつ過ぎたら地球の破滅の時は来るんだよ?」


「今から、1週間後です。」


ズコッ~~~~~~~~~っ!!


思わずキリモミ状に壮大にスッ転ぶ勇人。

すぐさま豪快なツッコミを入れだした。


「んな事出来るか~~~~~!!

無茶ブリにも程があるわ!!

赤ちゃんに生まれて1週間何て…。

パンパースすら一人で取り替えられないっつうの!!

無理だっつうのっ!!

神様、人間滅ぼすつもり満々じゃあねえか!!

ノリノリじゃねえか!!

何考えてんだ、お前んとこの神様は!?」


それを聞くとアインは、予想した反応が返って来た事が嬉しいのか…。

ニコニコしながら手を横に振り、軽く否定しだす。


「そこはご安心を勇人様。

勇人様と私は19年程前の過去へと遡って、生まれ変わりまして。

その時点から、真人間へと変わるよう

にサポートしていただきます。

過去に遡って変化した結果は、現在へも変化していきますので、その点はご心配には及びません。」


それを聞いて勇人は一先ずはホッとした。


「過去に戻ってか…。

それなら、まだ可能性はあるか…。

しかし、地球が無くなった事によるバタフライ効果で…。

いったい何が起きて宇宙が無くなるんだ?

そこら辺がどうにも、附に落ちんのだが…?」


誰もが思うもっともな疑問である。

アインは、勇人のその質問をを聞くと…。


「そうですね…。

この際じっくりと説明しておきましょう。

今の時代より数百年後。

とある異星人同士の、惑星間での宇宙戦争が勃発します。

その時、地球人が生き残っていたなら…。

その異星人同士の仲介役となり、直ぐに戦争は止められるのですが。

地球人がいなかった場合、その異星人同士の戦争は熾烈を極め。

その戦火は、徐々に他の惑星や銀河。

又他の異星人へと連鎖し広がっていき…。

ついには宇宙全体を2分する程の大戦争へとなってしまうのです。

そしていずれは…。」


その話しを、深刻な顔で説明を聞く勇人…。そしてアインの話しの推論から一つの答えが出た。


「そうか…。

それで、宇宙を壊す程の兵器を作り出し、宇宙を壊してしまうんだな。

なんと愚かな…。」


アインはそれを聞くととっさに片手を降り否定しだした。


「イエ、イエ。違います。

宇宙戦争の雑音が余りにもウルサくて、マイマスターが不眠症になられまして…。

ストレスのイライラから宇宙に向かって、ついテレビのリモコンを投げつけてしまい…。

うっかり宇宙を壊してしまう事になるんです。」


「………………っ!?…」


それを聞くと、勇人はあ然として、しばらく時が止まったように、ぼう然としてしまった。


「神様どんだけデカいんだよ…?

てか、リモコンてお前…。

宇宙ってお前…。

そんなまるで、ガキが金魚鉢を壊したみたいに…。」


それを聞くとアインは意気揚々と答えただした。まるでぴったしカンカンの大当たりを当てたように…。


「あっ!?そうそう。

そんな感じでしたよ。

宇宙は金魚鉢みたいなもんでして、宇宙も神様もまんまそんな感じなんです。

マイマスターもなかなか、神経質な所がございまして…。

枕が変わるだけで、私に眠れ無くなったと訴えて来るタイプでして…。

まあ、訴えるだけでその日の内に慣れて、真っ先に眠るんですけどねっ。」


「それはむしろ無神経だろっ!!!」


勇人はアインと神様に対して、大声でツッコミを入れるのだった。


「ついでですから勇人様、宇宙の事もっと教えときましょうか?」


「さっき金魚鉢がどうとか言ってたな…。

イヤ、怖くなるからイイ、知りたくもない。」


勇人は青い顔をしながら遠慮した。

アインは何故か酷く残念そうだ、よほど言いたかったのだろう。

だが、すぐさま気持ちを切り替え。


「では勇人様、まだ質問はございませんでしょうか?」


そう聞いてきた。

勇人は、しばし考えると首を横に振り無い事を示す。

しかし、ハタとアインに一つ言わぬばならないことがある事に気づいた。


「質問はもう無いが、一つ言っておく事があった。」


「何でございましょう。勇人様」


「俺の呼び方も呼び捨てで良いよ。

様付けはどうにも背中がカユくなる。」


アインがそれを聞くと、さも嬉しかったのか勢いよく頭を下げるのだった。


「ハイ!分かりました!!

では親しみと友好と親愛の意志を込めて…。

これからは「ゆうみん」と呼ばせていただきます!!

よろしく、「ゆうみん」!!!」


アインはそう言って右手を差し出して握手を求めて来たが…。


「やっぱ、様付けのままにしといてくれ…。」


が~~~~~~~ん!!


呼び捨てで言い合う事は、ものの10秒でゴワサンとなったのだった。

そんな夢を見ていると、またも視界がぼやけてきた。

どうやら、またも誰かに起こされているようだ。


「勇人様。勇人様起きて下さい…。」


アインが小声で、勇人を起こしている。

勇人は布団の中から身をよじり、アインの方を向いて見た。


「何だよアイン…。

こんな夜中に起こして…。う~サブ…。」


「勇人様。窓の方をご覧になって下さい。」


「窓…!?」


勇人は、アインに促され窓の方を見て見るとそこは静寂の中。

雪がボタ雪のようにしんしんと降りだしていた。

アインはどうやらコレを見せたくて勇人を起こしたらしい。


「雪か。寒い訳だな。じゃ、お休み。」


雪を一目確認すると勇人はまた寝モードへとなり布団に潜り込む。


「ええっ?ちょっと勇人様。それだけですかっ!?

感動ウスっ!

こんなに静かで綺麗ですのに…。

まるで、時まで止まっているようだ…。

この雪だと積もりますよねっ?

ねっ!?」


仕切りにそう質問してきたが…。

勇人は夢の中で、何度もアインのボケにツッコミを入れていたので…。


「もう勘弁して下さい…。」


そう呟き眠りにつく勇人だった。

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