第11話 二人の秘密
彼と半ば、公然の仲になり、毎日の様に、熱いやり取りをしていた頃
私は、ちょっと疑問に思う瞬間が、度々あった。
それは、彼の唯の、趣味的な、性癖なのか
男性経験が、全く乏しい私には、判断しかねたけど
何となく、感じる物があった。
でも敢えて、触れなかった。
そして、ある日、突然彼が、私に言った。
「×××。今度、僕の初体験の話を、してあげるよ。」
「聞きたい?・・・。」
私は、唐突な彼の提案に、ちょっと戸惑いながら
「うん!聞きたい。聞かせて?」
と、半分、楽しみな様な、半分、何か慰める様な、言葉を準備して置いた方がいいのかな?何て、想いながら。
何故って、唯でさえ、恐らく何処の国でも
初体験って、そんなに美しく上手く行った、想い出ではないだろうと、
セオリー通りに、考えて居たし
まして、イタリア人にしては、真面目で不器用な彼から
そんな、上手く行った美しい想い出の、初体験の話が
出て来るだろうとは、
彼には悪いけれど、あまり思えなかったから。
次の日、彼が、彼の初体験の話をしてくれた。
私は、あまりに予想を裏切る、展開に戸惑い、そんな事を、
まだ出逢って間もない、まだ本当に逢った事も無い、まだお互いに、確固とした素性も分からない、
お互いに、外国人の、異国の女に、言ってしまう彼の
ある意味激しくて、危うげな純粋さと、私への誠実さなのか、私の気持ちを試す行為なのか、
一瞬、脳内が、パニックになったが、不思議と次の瞬間には落ち着いて、その事実を受け止め
自分自身の、彼と、似た様な、過去の暗い性体験を、告白していた。
その瞬間から、私達は、何をもの、誰をもの侵入を赦さない、
禁断の二人の秘密の、禁忌の共有の聖域を、
甘美で闇に包まれた、哀しい愛の聖域を、作ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。