第10話 お国柄の違い

話は、ちょっと前に戻る。


彼に、何人かの私以外の、お気に入りの仲の好い 日本人女性が居ると書いたが


その一人に、良く、皆の見える所で、楽しげなメッセージのやり取りをしている女性が居た。


やっぱり、イタリア人だ。シャイな彼でも。


挨拶には、kiss,hug,の文字が見える。


私は、分かっていても、あんまり気分はいい物ではなかった。


本当は、もう、自分が気付かなかっただけで


彼の事が、本気で好きだったのかもしれない。


私は、彼に懇願した。


「お願い、他の女性に、kissとか、hugとか、言わないで。」


彼は、ちょっと驚き、でも、逆に嬉しそうに


「ごめん。×××。でも、僕の国ではこういう文化なんだ。分かってくれないか。」


「うん、貴方の国では、ただの挨拶だって分かってる。でも、私は日本人女性で、大事な人が、他の女性に挨拶でも、kissとかhugって言うのは、嫌なの・・・。」


もう実は私達の仲は、そのコミュニティの中で、もう公然の仲の様になっていた。


彼が朝、何人かの友人宛に、綺麗な花の写真と共に、短いメッセージを付けて贈るのだが


私だけ、確実に届く様に、私の名前だけが、赤く色がついていた。


そのうちに、その朝の挨拶は、私宛だけに、なっていたから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る