第6話 処女と同性愛と近親相姦

彼は、中々、今現在の彼の顔を、姿を見せてはくれなかった。


未だに。多分、そう。


出逢い初めに、私の顔が見たいと言われ


デジカメを買って、近所の無料でやっている、市民活動の一環で


カメラ好きの、ボランティアのお爺ちゃんに、使い方を教わり


妹に協力して貰って


その頃の精一杯の、メイクと髪型と服装で


全身写真を撮って、見せた。


でも、何故か、彼はその時酷く落ち込んでいた。


「×××何か、いい話はない?」


私が、リクエストされて必死で撮った、私の写真何て、目にも入らないと言う様子で。


「・・・ああ、いいよ。」


と、言うだけ。


「どうしたの?」


と、訊くと


「今日、僕の大事な犬が~されたんだ。」


英語力の無い私には、今いち、彼の恐らく大事な友人と呼ぶ、ワンちゃんに


何が起こったか、分からなかった。


彼が若い頃の僕だ、と見せてくれた写真に、一緒に映って居た


大きな白い、ピレネー犬の様な、愛らしいワンちゃん。


背の高い彼が、仕事机の前で立ち上がり、そのワンちゃんも立ち上がって、彼の頬を舐め


彼も満面の笑みで、抱きとめてる写真。

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