台風一過

 ちょっと生き物の話と逸れますが。

 先日の台風19号、被害に遭われた方には心よりお見舞い申し上げます。


 進路で直撃かちょっと逸れるかという地域だったので、すごい警戒していたのですが、時間が経つにつれ「えぇっ、そっちの県の川が氾濫?!」とか「そっちの方が降水量多いの!?」とかびっくりするようなことがどんどん出て来て、改めてうちの方何もなくてよかった、と安堵するとともに、どうしてこうなっちゃうんだろうなあという無力を感じます。



 前日、近所の家の庭にある木から電線のあいだという、とんでもない範囲の網を張るジョロウグモがいました。とお目に見てもかなりのビックサイズ。おそらくオスと思われる二回りほど小さいのが脇にいます。

 11日はまだそこまで防風ではなかったのですが網は揺れており、彼らはいったいどういうところへ逃げるのかなあ、と疑問に思っていました。

 電線に逃げても隠れる所がないし、やはり木の方へ逃げるんでしょうかねえ……


 直撃日はさすがに確認できませんでしたが、14日出勤時に見上げると、ばばーーんとまた網を張っていました。無事やり過ごせたんだね、よかったよ。



 12日、うちより上流で警戒水域に達したというので念のため避難。でも堤防が頑張ってくれたおかげで溢れたり決壊したりはありませんでした。ありがとう堤防。あと作った人。

 

 13日は晴れたので「ちょっと川の様子見に行ってくる」と出かけます。

 皆考えることは同じなのかうろちょろしており、写真を撮ったり橋の欄干からのぞき込んだりしていました。

 しかし水の傍へは怖いから近寄れません。いくら水が引いたと言っても、通常流れていないはずの河川敷にまだ水入ってますからね。迂闊に近づけば足を取られて流されてしまう。草も水の流れていく方向に見事に綺麗に倒れておりました。

 よく釣り人がいる河岸もえぐられてしまったのか、土ごと根こそぎ木がたおれ、流れで皮がむけて表面がつるっとしておりました。水の力すごい……

 


 ミルクティーみたいな色の水の中から草が顔をのぞかせる河川敷を、カモが数羽泳いでいます。たまにパクパクと水の中にくちばしを突っ込んでいます。草を食べているのか、虫や小魚を食べているのか。

 流石にこの濁流ごうごうの本流でぷかぷかするわけに行きませんからここに居るんでしょうけど、そこ普段泳ぐとこじゃなくて歩くところだからね。なんだか不思議な光景でした。


 カワウやカラスが上空を飛んでおり、河川敷に取り残された魚を狙っているのでしょうか。たまにかろうじて陸地がみえているところに降りていました。魚が流れの緩い所に居るのを知っているんでしょう。

 中州も沈んじゃったし、草木も水につかって居場所が無いので、大体の鳥は電線や橋の上、堰の装置や施設の手すりなどに止まっていました。



 そんな中、どこからかコオロギの声が聞こえてきます。あの増水から何とか逃げ切ったんでしょうね。水の来ない高台に避難できたんだろうなあ。

 

 人間の生活も、彼らのようにすぐに元に戻れたらいいのに。

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