さわるなきけん

 危険な幼虫のお話です。姿を知っておいて損はなし。


「イラガ」をご存知でしょうか。毒があって刺されるとめちゃくちゃ痛くて腫れます(父談)。私は幸いまだ刺されたことがありません。



 数年前、うちの庭の柿の木に「ヒメクロイラガ」という種類の幼虫が大発生しました。

 最初は、木の先端あたりの葉の異変。表面だけ削りとられて白くスケスケになった葉が多いな、と見ていたのです。しかし次第に、下部の葉がどんどん小さくなっていき「これは誰か食べている」と注意してみるようになりました。


 そしてある日。沢山いすぎて逆にわからなかったのですが、一枚の葉に身を寄せ合ってぞろぞろと縁に並ぶ黒っぽい緑の幼虫ががが……

 チャドクガもにも言えますが、お互いこんな近くて痛くないんでしょうか。


 まだ小さいせいか棘の黒さもそこまでではありませんでした。しかしウミウシのようなずんぐり体型に無数に生える棘は、いくら「幼」い「虫」とはいえ絶対に触れてはいけません。触れたら最後のたうち回る羽目になります。


 しかもその葉っぱ以外にも数カ所にローラー作戦で端から削り取る集団が! たまに糞がぽつッと落ちてきます。糞は無毒ですけど遠慮したい。


 もこもこと枝を歩く奴を見ていると、ナメクジやカタツムリが細いところを歩くとき腹の肉(?)をうまく巻きますが、イラガもどっちかというと腹広な感じなので腹脚を巻き込むようにして掴んでいました。そこだけ見れば可愛い奴なんですが、いかんせん人の生活圏内に入ってしまった毒毛虫。申し訳ありませんが駆除させていただきました。


 もっと大きくなると単独行動を始めてしまうため、一網打尽にするには集団でいる今の小さい時期しかありません。かわいそうですが枝ごと切り落として駆除。



 また別の日、違う幼虫も見つけました。今度のはなんつうか…まんじゅうのような……ハコフグのような形。でもちいさな棘がしっかり背にならんでいます。

 これも「テングイラガ」という種類。不思議なことに「刺された」という話も「刺されなかった」という話もどっちもあるので正直分かりません。私だって命は惜しいので刺されてみようなんてバカなことはしたくないし、付近を見てもその1匹だけだったのでしれっとスルー。この子どこに顔があるんだろうなあ。形だけは可愛いんだけど。


 

 またまた別の日。今度は違う木でやばいのがいました。

 頭の方に4本、お尻に2本突き出した角に、さらにサボテンのように無数の毒毛がついている完全防御の「ナシイラガ」。外見だけで危険とわかる姿をしています。

 発見時はもう結構大きくなっていて、単独で方々に散らばっていました。なのでその木に近寄らなければいいんだ、と諦めてスルー。案の定数日後には蛹にでもなったんでしょう、居なくなっていました。



 イラガはだいたいがウミウシ体型。ずんぐりむっくりの体に棘をまとっていて色も綺麗だったりします。そして小さい。終齢でも2㎝程度で目立たず、うっかり手を伸ばしてギャー……ということも考えられます。

 丈の短い幼虫には気を付けてください。ほかにも「ホタルガ」という黄色と黒の幼虫は、毛自体に毒はなくても分泌液に毒があるそうです。うちの庭によくいるんだけど……。



 イラガの発生時期は7~8月。これからですので皆さまお気をつけて!

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