迷子にならないアゲハちゃん

 現在進行形で多分ナミアゲハの幼虫と一つ屋根の下で暮らしております。

 人間の都合で卵のあった枝を切り落としちゃったもんだから、責任もって飼育中。

 今まさに姿かたちがうんこちゃんです(4話目)


 つい一週間前にうちに来たのですがもうその時孵化直前で、翌日には卵が黒くなり、帰宅した時には5㎜くらいのちいーーーーさな幼虫が葉の上におりました。


 ゆずの若枝を失敬し、水没防止にアルミホイルの蓋をかけた瓶にぷすっとさせば飼育場の出来上がり。

 小さいうちはまだそこまで食欲旺盛ではないので数日はこのわずかな枝で大丈夫。あまりにも枯れたら取り換えましょう。


 翌朝になって、葉っぱの端っこにちーーさなかじり跡がついているとそれだけで「キャー可愛い!」ってなります。


 

 アゲハちゃんは、食事をする場所と休んでいる場所をかなり明確に分けます。

 休む時は必ず同じ葉の同じ場所で同じ体勢で、食べるときは必ず同じ葉っぱの同じような場所から食べ進めていきます。

 若干の個体差や好みで違いは出るようですが、ほぼコースは決まっています。

 ずっと同じ葉ということはなく、数日たつと食べ掛けの葉っぱを放置して別の葉に移ります。休憩所も変わります。

 できれば綺麗に一枚食べつくしてほしいけど、たかだか5ミリの幼虫が葉っぱ一枚たべられる訳ありません。かじり跡だって直径数ミリ程度の半円です。あのからだでこれだけ食べてるとおもえば逆にすごい。



 どうやって餌場と休憩所を行き来しているんでしょう。


 数年前にも飼ったことがあり、かなり大きくなってからその仕組みに気づきました。


 拝借してきた枝が水揚げが悪くしおしおになり、新しい枝を採ってきて移した時です。

 いきなり新居に移動させられると頭をきょろきょろ様子を探っているようです。端から見ていると右往左往しているようでした。

 

 

 しかしこれ、環境が変わって戸惑ってるんじゃなくて、足場を作るために糸を葉っぱにつける作業だったのです。

 よーーーーーくみると、光の加減でクモの糸よりも細い糸がアゲハの歩いた後につけられているのが見えました。


 さんざん葉っぱの上で首を振り振りしていたかと思うと、そこを休憩所に決めたのか、落ちついてじっとしていました。



 そして新しい餌場へ向かう際にも、どうやら糸を出して元の場所に戻って来れるよう目印をつけている感じでした。


 当時2匹飼っており、それぞれ餌場へ向かう途中の枝が一部共通の通路になったことがありました。それでも迷わず自分の休憩所へ帰るので、うまいこと他虫たにんと被らないように糸をかけたのか、こっちが自分のだという匂いとか感触とかわかる何かがあるんでしょうね。そこまではうかがい知れません。


 

 私より観察眼のある人から聞いた話だと、葉っぱに糸を貼るのはただ自分のテリトリーを確保するだけじゃなくて、滑らないように足場にするためともおっしゃってました。

 いくら腹脚(前の6本の脚以外の幼虫時代だけにおなかにある脚)が吸盤みたいになってても、ぬれた葉や元からつるつるの柑橘系の葉だと滑ってしまうんでしょう。

 へ~~なるほど、と少し賢くなった気分。


 スズメガ飼ってた時は、食べた場所からちょっと後ずさりした場所で休んでいたような気がするので、アゲハは几帳面なんでしょうね。



 期間は短いですが、1匹くらい人生の内で飼ってみてはいかがでしょう。割とおすすめですよ。

 気持ちいいくらいに葉を削り取っていくお食事風景も可愛いんですって。

 たまに糞がおちる「カツ」という音も、生きてるなって感じします。大きくなると葉っぱを食べるぱりぱり音も聞こえてきます。

 産まれた瞬間から自分で餌を探しますし、鳴かない、臭わない、場所を取らない、餌の葉っぱさえ切らさなければ放っておいてOK。

 絶対印象変わりますョ。

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