第4話

朝ごはんを食べにリビングに行くと、いつもの光景が広がっていた。

母が朝ごはんを作り、父はスーツに着替えてテーブルの前の椅子に座って本を読んでいる。うちの家の母は料理を作るのが好きでAIに作らせてはいない。

「おはよう」


声をかけると二人とも私の方を向き笑顔で挨拶する。

「「おはよう」」


私も朝ごはんを食べるために父の斜め左の椅子に座る。

ご飯が出来たみたいだ。

母は料理が乗ったお盆をテーブルの上に置いた。そして、父の正面の椅子に座って料理を並べ出す。

今日の朝ごはんはスクランブルエッグと食パンだ。


並べ終わり、みんなで「「いただきます」」と言い朝ごはんを食べ始める。

「ミオ就職はどうだった?」


母にとっては何気ない質問なのだろうが、私にとっては一番聞いてほしくなかった質問だ。

黙り込むと、母はそれで察したらしい。

「しょうがないわよねぇ。今年は去年より倍率が高かったんだから」

「あぁ、そうだ。しょうがない」


二人ともしょうがないしょうがないと言うが、全然しょうがなくない。

初日に就職出来なければ、就職するところのランクを下げるか、最悪華街はなまちで働くかの二択しか道が存在しない。

華街とはホストクラブや風俗店などそういう店が並ぶ地域のことだ。


華街にでは絶対働きたくない。華街で働いている人は華落ち人と言われ、社会の最底辺だと差別されるからだ。

もし、華街で働くことになったら、両親は私と絶縁するだろう。


とにかく、今日はランクを下げて、就職してみよう。ランクによって社員を募集する日にちが違って、一番早いのはKやQ、その次にN、C、Sの順番だ。

昨日はCの社員の募集だったので、今日と明日はSの社員を募集する日だ。


「いってきます」

「いってらっしゃい」

「頑張れよ」


私は8時に家を出た。

Sの会社の面接に向かうのだ。

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