第1話「セカイ」
数日後 メルボの街
「ひどいな,,,,,,,,これは。」
灰色の軍服を纏った彼らは目の前に広がる惨劇をみてそう呟いた。
「いくら俺らがここの担当だからってあまりにも酷すぎるだろ,,,,,,,。そう思わないか?マークス。」
マークスと呼ばれた背の高い男は振り返って答えた。
「仕事なんだから仕方ないだろ?しかも支部長直々じゃあ拒否権はないよ。違うか?ケルン。」
ケルンと呼ばれた中肉中背の男はため息をつきながらひとつの愚痴を漏らした。
「,,,,,,,こんなのばっかなら辞めたいよ。連邦軍。」
ーこの世界には四つの国が頂点に存在している。東の覇者・東武戦線、西の管理者・イスルガンド連邦、南の学園国家・デルセロエデンズ、北の国家連盟・フォールデム大連盟
これら四つの国々はそれぞれは互いに二つの意思のもと長き時間を共にしてきた。
一つは、不侵略不可侵略。もう一つは対龍種の仲間である。ー
数時間前、第三支部長室
「お前ら二人にメルボの街の調査に行ってもらいたい。」
そう言ったのは、名をメノウ・ラッカーという厳格そうな初老の男性だった。
「メノウ支部長。我々二人のみでですか?」
「その通りだ。マークス大佐、ケルン大佐。
メルボの街が数日前に襲撃、壊滅したのは知ってるな?」
二人が答える。
「はい。存じています。」
「自分もかなりの数の死傷者が出ているという報告を受けています。」
メノウは静かに続ける。
「あの事件は正体不明の龍種によるものではないかというのが本部の解析班の見解なのだ。」
「本部の解析班にしては随分とアバウトですね。」
マークスが疑問に思うのも当然であった。
通常事件が起きた際には首都のオリンパスラに存在するイスルガンド連邦軍本部の解析班が各支部から集められた情報や映像等から犯人を特定し、その後全五つある支部へ連絡する。
そして解析班の連絡はかなりの情報量と精度を持っているのが軍の中での常識なのであった。
「うむ。解析班もかなり調査したようだが、人為的なものではなく、確認された反応もこれまでどの龍種とも違うそうだ。そのため一番近いこの支部から現地調査班を出すことになった。」
マークスとケルンがしばし考えてから答えた。
「分かりました。この任務お受けいたします。」
「自分も右に同じです。」
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