第31話 おでかけすいっち

  「へぇ~っくっしょんてぇ~」

居間のほうから親父のようなくしゃみが聞こえてきた。

「どこに親父がおるぅ?」と聞くと「親父はおら~ん」と返事が返ってきた。

「じゃぁ誰だ?」と聞くと「お姉ちゃん」と母から返事が返ってきた。

あまりにも親父臭いくしゃみだったもんだから、思わず娘に聞いてみた。

「友達の前でもそのくしゃみ?」

すると、「まっさかぁ。そんなわけないじゃん。」

でしょうね。そうでしょうね。そうであってほしいけどね。

「じゃぁ、友達の前ではどんなんする?」

「可愛くくしゅんって咳みたいなやつ」と言う。

「どこでそのスイッチが入る?」

「友達と一緒の時にくしゃみ出そうになって口を手で押さえたらスイッチオン」

「え~おかんは?」

「そんなスイッチ捨てたわ。」

「拾っとけ」

と娘に言われたのでスイッチ探しの旅にでも出ようと思う春の日でした。


かなり昔に捨てたもんだから、見つかるといいんだけどねぇ。

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