第30話 私が選んだ道とはこれよ。
実は、私は調べることが好きでして・・・
自分が気になったことは調べないと気が済まない。調べて自分が納得して自分の中に落とし込んだところでようやく安心するのだ。
職場やプライベートでも聞かれたことにはすぐに答えたい。
という願望もあるから余計だ。即答できないものにはリサーチの上、キチンと答えたい自分がいる。
そんな自分だから、わが身に起こった事なら、なおさらとことん調べたい。
理解したいという欲求にかられた。
だが、自分が不育症と診断されたとき、自分の周囲にはその病名を誰一人知る人も無く、孤独を感じてしまい、自分で調べようと思う気持ちもあまり沸いてこなかった。
精神的余裕が全く無かったに等しかった。
正社員として働きながら、治療を続けていた頃、職場から、医療従事者からもひどく心を痛めるような言葉を数々頂戴した。
「苦しいことは、話せば少しは楽になるよ」と、友人からの有難い言葉を受けて、不育症の事を話すと、友人達はみな言葉に詰まる。必死に口にしてくれた言葉には大変申し訳ないのだが私の心に響くことさえなく、自分の中での孤独感だけが増していった。それはどれだけ付き合いが濃い友人でも同じだった。
同じ経験をした人ならばと思いもしたが、周りにはいなかった。
原因が自分にあると判ってからは、自分を責め続ける毎日で自己肯定感も皆無に等しかった。治療の末、我が子を授かることはできたものの嬉しい反面、雫となった我が子を思うと自分の中ではそれをゴールだと感じることができずにいる自分もいた。自分を愛することができない自分がいた。家庭でも仕事でも自己肯定感が無いままだと行き詰ってしまう。そしてまた自分を責める。
体調もメンタルもどん底に落ちて何年が経っただろう。
我が子が成人を迎えるころに不安定ではあるもののようやく前を向けるようになってきた。友人や推し達の力を借りてようやく前を向けたのだ。
人前で後ろ向きな自分を見せるのが嫌で作り笑いをしていた自分がようやく心から笑えるようになった。少しづつではあるが自分を愛することもできた。そうすると気持ち的にも余裕ができてきた。もしかしたら、長い間様々な経験をして自分の気持ちを整理できた自分だからこそ寄り添えるのではないかという思いが芽生えてきた。
自分を責め続けた頃の話をするとまだ涙がこぼれるのだが、それは仕方ないことと思っている。その都度流した涙でまた心を一つ浄化できるのだと考えている。
今は新たなスタートラインに立っている。私と同じ不育症で苦しみ孤独を感じ自分を責め、自分を愛することができなくなった人たちの為に寄り添っていこう。
そのために不妊症不育症ピアサポーターの道を選んだ。
私の地元は田舎だ。でもそんな田舎でもちゃんとピアサポーターはいるよ。
安心してねと伝えたい。
何ができるかはまだまだ未知数ではあるけれど少しずつ進んでいきたいものだ。
みなさんと過去の自分と未来の自分と共に・・・
さぁて、今夜も調べ物をしようか。
まずは、推しを愛でて栄養補給してからにしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます