第26話大晦日のプレゼント

 推したちのライブDVDが大晦日に発売になるとの情報を得た。

参戦できなかったライブ。どれだけ待ち望んだことか。

しかもその日は娘の誕生日!

あまりの嬉しさにすぐさま娘にメッセージを送った。

「すのさんが誕プレくれるよ!」と、早朝に。

案の定、娘は起きているはずもなく。私の仕事中に返事が届いた。

「マジか?!じゃぁ、受け取りはおかんの所にするね。DVDで年越しだわ!!」

と、喜びの動くスタンプと共に送られてきた文面には興奮冷めやらぬ感情が溢れていた。

 その夜、娘と電話をした。お互いに待ってたよね~。待ってたよね~。と連呼になる。DVDはお互いに1枚ずつ購入することした。娘は苦学生。私も金銭的に余裕がまだ無い為だ。娘が初回盤を、私が通常版を購入し、二人で鑑賞会を開こうと計画する。その後、ヲタク話をだいたい2時間するのが毎回の電話の流れだ。

その中で、ついついネットニュースが気になる私は「この話ほんと?」と娘に聞いてしまうのだが、娘から返ってくる言葉は「公式の発表を待ちなさい。おかん。」

と、毎回言われてしまうのだが、娘の落ち着きようは半端なく素晴らしいのだ。

「うちらが流されてはだめだよ。落ち着いて待ってようよ。すのさん達はちゃんと考えて、きちんとうちらに教えてごさいけん。」と言ってくる。

どっちがおかんだ?

私から見て娘はヲタクの先輩。流石だ。

 その後、大晦日のYouTube生配信ライブの情報を得るとすぐさま娘にメッセージを送った。

「娘さ~~~~ん!!誕プレ爆弾きたよ~~~~!!」と喜びの動くスタンプを画面いっぱい送る。すぐさま娘からも喜びの動くスタンプと「やばいやばい」とメッセージが来た。この情報が嬉しすぎて舞い上がりながら午後の仕事をこなす。嬉しすぎて仕事がはかどるはかどる。

その夜、娘と電話をした。

「大晦日はペンラ必要じゃない??帰省の荷物が増えるなら前もっておかんの所に送ったら?」

「そげだわ。ペンラがいるわ。そげだね。そうするわ。前もってそっちに送るね。」

「帰省したら大忙しだわ。クリスマスから年明けもずっと。卒論があるけど俄然やる気でてきたわ。」と娘の弾んだ声が聞こえた。

 親としては子供の元気な声が何よりの幸せだ。子供達の心からの幸せそうな声が明日からの生きる力をいただける。お世辞ではない。

私は4人ほどこの世に生を受けることができなかった子供達がいるのだ、余計にこの世に生を受けた子供達の幸せそうな声はとても嬉しい。この子達の為にもまだまだ頑張らなければと心に決めている。

そして、背を正し、大晦日を迎えようと思う。

 これまでの間に私達でははかり知ることのできない位の様々なことがすのさん達にはあっただろうと勝手に想像するのだが、そのすべての感情がすのさん達のパワーとなって私達の前に現れてくれることと思う。

親が子供の幸せを願うように、ファンはすのさん達の幸せを願い、すのさん達はファンの幸せを願ってくれている。その関係性に毎日のように嬉しく、そして誇らしくも思う。すのさんを推せて本当によかった。


私の地元では今、八百万の神様が集まっているのだが、今は亡き父が観光タクシーに乗っていた時に、「かんさん(神様)が集まった時にお願いしに行っても遅いで。もう議題は決まっとるけん。頼みに行くなら集まる前だ。」と言っていた。

だが、この渋滞加減を見るとお願いに行かなきゃ。とせかされる気分になる。

一応、亡父の言葉を信じ、集まる前に子供達とすのさんの健康と活躍はお願いしてきた。


おやじぃ~!

本当に合っとるかや?

だれんも今お願いしとらいで?

さて、仏壇に父の言い分を聞きに行こう。



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