第21話 お盆の茶番劇

 子供が二人県外へと行ってから母と二人で過ごすことが多くなったお盆休み。

何か面白いことをしないと二人で過ごす楽しみもないなぁと感じていたここ数年。

お盆の入りに庭先で”おがら”を焚き、母がお盆用に飾った祭壇にお団子を供え線香をあげ手を合わせる。居間に戻ってくると、「今年も戻ってこらいたねぇ。」と言った。すかさず私が、「ただいまって言わいたかね?」と聞くと、「いんや、聞いてない。」と言う。「帰ってきたら、ちゃんとただいまって言わないけんじゃない?」

「誰のしつけがなってないかいなぁ?ちょっと私が聞いてくるわ。」と言って私が祭殿へ行きお線香をあげ手をあわす。

居間に戻って母に向かい「ちゃんとただいまって言っとらいたわ。団子もまかったと。(美味しかった)」「ちゃんとただいまって言わないけんよって言っといたわ。」と言い。母は「そげかね」と言いながら二人で笑いあうのだ。お盆の明けにしてもしかり、二人で送りの”おがら”を焚きながら、「あら、いってきますっていわれんだったねぇ。」「誰のしつけがなってないかいなぁ。」「来年は学習してもらわんといけんわ。」と言いながら”おがら”が燃え尽きるのをふたりで待つのだ。

こんなの茶番をここ数年二人でやっているのだが、きっと母と私のどちらかに霊感なるものがあったのなら、ご先祖様にめちゃめちゃ叱られているのかもしれない。

まぁ、楽しく過ごすための苦肉の策、ゆるしてくださいまし。

母の認知症予防にはこんな楽しみもあっていいんじゃないかなと考えるわけですよ。

ボケて欲しくないと思う娘としてわね。

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