第13話 我が家のできるかな
私の年代としては、できるかなといえば、のっぽさんとゴン太君だ。のっぽさんが黙々と工作をし、ゴン太君の合いの手を聞きながらナレーションで全てを理解するという図式が出来上がっていた。学校を休むと見れるという番組。学校でも見せてもらっていた。
我が子の世代は、わくわくさんとゴロリ。
喋るわくわくさんに少し違和感を感じたものだ。
未だに忘れられないのっぽさんを懐かしく思いながら、台所に立つ。洗い物をしようと思うと、ふと気づく。
お弁当箱が出ていない。
子供部屋に顔を出し、私は歌う。
「でっきるかな?でっきるかな?はてさてふっふ〜さてふっふ〜」
「何が?」という子供らに「お弁当箱は、台所まで来てくれるだろうか?」と、私が言う。毎日の様に続けていた所、渋々持ってくる娘、歌う私にお弁当箱を投げて渡す息子。
それが半年ほど経った頃、娘が言った。
「お母さん、その歌聞くと胸が痛い。出さん私が悪いけど、歌い方が怖い。」あら?
可愛らしく歌ったつもりだったけど?
「その歳で可愛さ求めらんでいいけん。」
あら!そうなのね。この歌は、可愛く歌いたかったのに。
その後、私が部屋に顔を出すとお弁当箱が私の前に出てくる様になった。
どうやら、うちのお弁当箱は、台所まで歩いてはきてもらえないようだ。
残念。
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