第7話~遥の特技~
弓道を教わって3日目
遥の運動神経に良さに加え大和操の指導がよく、本来ならばまだまだ射させてもらえなかったが、片霧が「いいじゃん、射っても」で数回射させてもらった。
「1回も当たらないし、的まで届きもしない・・」
遥が凹んでいると片霧が笑いながら
「当たるわけないじゃん、前方に飛んだだけましだよ」
すると遥が思い出したように
「ボールなら当てる自信あるんだけどな・・」
「ボール?野球の?」
「はい、足も調子いいし、この距離なら」
「的まで28mだぜ・・・あ!」
片霧がサボる口実を見つけた瞬間だった。
片霧は大和部長に遥の足の調子を見たいついでにランニングしてくると言って2人でグラウンドに出てきた。
片霧はメジャーで計り的と同じサイズの板を用意した。
「ボールは借りてきたし、これでよし」
渡されたボールは少し大きかったが、遥は壁に向かって一人キャッチボールを始めた。
少しすると遥は「始めます」といい、片霧は的の近くで待機した。
遥は狙いを定めて1球目を投げた、ボールは的の上ボール半分位を通り当たらなかった。
「まじですげー、おしかったじゃん」
遥にボールを戻しに来た片霧ははしゃいでいた。
「次は当てる・・」
「おし、次当たったら夜ご飯とイチゴ牛乳をご馳走する」
片霧はそう言いながら的の方へ戻って行った。
片霧が戻ったところで、遥は目を閉じて集中しながらボールの軌道をイメージで修正していた。
遥はゆっくり目を開き2球目を投げた、ボールはイメージ通りの軌道を描きながら的に当たって転がった。
片霧は28m先でも聞こえるような声で「当たった、すげー」を繰り返しながら遥の所に戻ってきた。
遥はコントロールが良くて投手をしていたが、肩が強いからと外野も守っていたと片霧に話をした。
「へーそれなら60mとかも当てちゃう?」
「60m?」
「弓道には60mって距離もあるんだよ、もちろん的のサイズは違うけど」
「投げて60mは流石に」と遥が言うと
「バットで打ってなら行けそう?難しい?荷物にあるあの長いやつってバットでしょ?」
「その通りバットです」
そして遥は難しいと言われ野球魂に火が点いた。
「今日は日が暮れてきたから明日やろう」
片霧がそう言うと2人は弓道場に戻り挨拶をして寮に戻った。
そして片霧は約束通り夜ご飯と風呂上りのイチゴ牛乳をご馳走してくれた。
翌日、2人はまた部活を抜け出しグラウンドにいた。
トスのやり方を片霧に教えそれは始まった。
素振りをしながら久しぶりのバットの感触を確認したところで片霧にトスをお願いした。
呼吸を合わせて投げた5球目だった、片霧の投げたトスが手から抜けて遥の大好きな高めに上がり遥はそれを見逃さなかった、打ったボールは弧を描き端ではあったが的に命中した。
「まじすげー、折原天才じゃん」
遥は照れながら
「いやいや、まぐれですよ」
「まぐれでもすげー」
2人は気づかなかったが人影が的の近くでボールを拾い2人に歩いて向かって歩き始めた。
「片霧、何してるの?」
「いやー折原が天才でー」
「確かに見てて凄かったけど」
二人が声の方を見るとそこにいたのは額に#の文字がが浮かんでる大和操だった。
そして遥と片霧は残され罰として部室の掃除をやらされた。
「いや、いいもん見れたわー」
と掃除をしながら万遍の笑みの片霧陽子
後に野球愛とこの特技で人類が助けられるとはこの時点では誰も思っていなかった。
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