第6話~聖獣再び~

遥は身体から水晶を取って貰ってから身体も怪我した足も調子がよかった。


思い出したくはなかったが、大和先生が右足を触り始めた時に膝で手を止め。


「あんたの膝・・痛そうだね・・ついでだから代えて置くわ」


その時は頭が真っ白で理解出来なかったけど、今思うと「治す」では無く「代えて置く」と言っていた。

遥は「代える」って何したんだろう?と考えていた。



翌日、弓道場で片霧の「やってみるか?」の一言で人生初の弓道をやる事になり、部室で大和操が弓道衣を着けてくれる事になった。


「昨日はごめんね行けなくて、部長会とか忙しくて・・もう大丈夫なの?」


胴衣を着付けながら操は話しかけてきた。


「はい、片霧さんが大和先生を連れて来てくれて」


大和先生の名前を出すと操の手が止まり、嫌なやつが来た適な口調で。


「何で美佐が来たの?」


遥が「美佐?」と言うと。


「そう、大和美佐・・ここの保健の先生で私の叔母」


「やっぱりそうだったんですか同じ苗字だったからもしかしてと思ってました」


「私は他人がよかったんだけど」


操がそう言うと遥は言葉を察し昨日の事を思い出し段々声が小さくなりながら。


「それで大和先生が来てくれて・・」


操は動かないまま肩を震わせながら。


「折原さん、何かされた?誘惑されたとか、身体いじられたとか・・」


昨日の事を知っているかの様に話した大和部長に遥が恥ずかしくなっていると、片霧が勢いよく部室に入って来た。


「胴衣着け終わった?大和さん遅いっすよー」


片霧が入って来ると操は静かに立ち上がり今度は怒り口調で。


「片霧・・何であの変態・・美佐が来たの?」


「ん?昨日の事?」


「そう」


「だって、ありゃーどう見たって水晶症候群だぜ、俺の手には負えなくてとりあえず保健室にって行ったら大和先生が珍しくいて、見てもらって最終的には水晶が出てきたし」


操は片霧の話に途中からかぶる様に


「理由はどうであれ、入学前のいたいけな娘が美佐の毒牙に・・って水晶が出た?」


「よく分からないけど、出てきたんだって1cm位のやつが」


「それって・・」


少し冷静になった操に片霧は説明をした。


話を聞いた操は引きつった顔をしながら


「折原さん、よかったわよーその時この学校にいて、そして大和先生がいなかったら今頃・・」


「死んでたか?」


部室の入り口から大和美佐が笑みをこぼしながら現れ、それを見た操と片霧は


「あ・・まずい」と片霧


「何で美佐がここにいるのよ」と操


「各部室にある応急用の在庫調べに来て、ドアが開いてたから入って来た」


とぼけた用に美佐が言うと怒りを抑えながら操が。


「美佐おばさん・・」


「おねーさんだ」


「おばさま・・」


「綺麗なおねーさんだ」


「・・・」


少し間を空けて抑えきれなくなった操が。


「こ、この変態美佐、入学前のこの娘を誑かして、しかも1時間もかけて何しようとしてたんだ」


美佐は拗ねた様に


「だってー初めての体液干渉だったし、それにあの娘はまだ未発達だし、操なら5分で逝かせられるけど」


美佐がそう言うと真赤になった操が


「た、体液干渉って他に言い方とかあるでしょう」


美佐は今度は嬉しそうに。


「美佐が相手の特定の体液に干渉して私をあたかも自分の身体ですって相手に勘違いさせて侵入するわけだし、身も心も許した時が一番安全で効率よくできるから・・あのやり方が一番なのよー」


「許したって・・そう思ってるのは・・」


拉致が明かないと思った美佐は今度は強面になり。


「じゃーあの時にたまたま学校に戻って来たからよかったけど、居なかったら操は折原を助けられたのか?・・答えろ操!」


「・・・」


操は自分には出来ないと答える事が出来なかった。


「お前たちに言っておく、あんな芸当できるのは日本で私1人だけで、全世界探してもでも3人(2人は弟子)しかいない、やり方がどうとか言い方がどうとか、全ては私が決める!聖服医師として最善を尽くして命を救う・・ただそれだけだ」


そう言うと美佐は振り返り部室を出て行こうとした。


操と美佐が会うと毎回起きる漫才とは知らず、真面目に話を聞いて間違って感動してしまった遥は


「昨日はありがとうございました大和先生」


美佐は入り口で止まり振り向かずに


「じゃーお礼に身体調べさせてくれる?」


遥は思わず防御姿勢になり、片霧は頭を抑え、そして操が一言


「この変態がーー」


そして3人に顔は見えなかったが、妄想状態に入りよだれジュルジュルの変態美佐がそこに立っていた。

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