第3話 「先にいる」彼女

同窓会が終わり帰宅した。

手元には、彼女からの手紙がある。

彼女の親友だった、梨田さんから渡された。


「自信を持って!あの子の中で君は、永久欠番なんだからね」

最後にそう言われた。


「永久欠番?どういう意味だ?」

野球やサッカーじゃ、あるまいし・・・


手紙を広げてみた。

思春期の女の子がよくやる、便箋を折りたたんだだけの手紙・・・


誰が考えてるのか・・・


広げてみた。


「親愛なる、君へ


やあ、元気?

私は何とかやってるよ。


君がこれを見ていると言う事は、

昌美から、もらったんだね。


私は、何とかやってるよ。

声は、時々は聞いてるんじゃないかな?


私は、今は声優の仕事をしています。

でもかけだしだから、それだけでは、食えないけどね。


大変だけど、とても充実しています。


さて、本題。


私が『待ってるね』と言ったのはね、

≪いつか一緒に、お仕事しよう≫

そういう意味だよ。


君が、漫画家を目指しているのは、知ってたよ。

いつも、絵を描いてたものね。


私は、君の絵が好きだよ。

君の描くキャラが好きだよ。


いつか、君のキャラに命を吹き込みたい。

そう、思ってるんだよ。


今もね・・・


だから、がんばって!

大変だと思う。


デビューするのも、保ち続けるのも・・


でも信じてる。

私はこうして、声優になれた。


だから、君もぜひ、叶えて。


それまで。私も声優界で生き残るから。


何年経っても待ってるから・・・


逃げたら、許さないよ。


私の代表作のところには、ひとつ開けておく。


そこは、君の指定席。

永久欠番なんだよ。」

         


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